くどう大輔発言録

平成21年12月定例会 本会議

(2009年12月02日)

〇議長(佐々木一榮君)

次に、工藤大輔君。

〇30番(工藤大輔君)

民主党の工藤大輔でございます。

初めて議席を与えていただいてから早くも10年が経過しました。先般、全国議長会から表彰をいただいたところでございますが、当時から今日までの間、行政運営や政治の流れにおいて大きな転換期であったと思います。この間、知事、議員各位、職員を初め、多くの県民の方々に御指導をいただいてまいりました。ここに改めて感謝を申し上げ、質問に入ります。

初めに、組織改編についてお伺いします。

行政が公共サービスを担うというガバメントから、県民を初めとする企業、団体、NPOなどの多様な主体が公共サービスを担うというガバナンスの時代へ移行する流れの中にあります。

国では、政権交代により、脱官僚依存での政治主導の体制を構築する仕組みや、事業仕分けによる無駄の排除や事業の運営主体の見直しが行われようとしています。

県内にあっては、4広域振興局体制がいよいよ来年4月から始まるほか、いわて県民計画の着実な推進を図ることから、総合政策部、地域振興部及び総務部のあり方を見直すため、今議会に岩手県部局等設置条例の一部を改正する条例が提案されています。

その改正内容は、さきに示されたとおり、知事のトップマネジメントをより機動的に支援し、情報発信ができる体制を進めるために秘書広報室を設置し、法務関連業務を強化し、各部への後方支援機能を充実させるための総務部の改編、政策立案機能の一元化や政策部門と実行部門を一体化させた政策地域部の設置であります。これは、知事就任から初めての機構改革となりますが、現行組織から新組織へ移行したいとする目的には、国や各方面への提案機能や市町村並びに住民に対するシンクタンク機能、地方分権改革推進委員会の第2次勧告にある条例制定権の拡充に向けた政策法務機能の充実など、ガバナンス機能の強化を目指しているものと考えます。

知事は、県政の推進体制を再構築するに当たり、これからの行政運営をどのように行おうとしているのか、知事の思いをお伺いします。

また、その実現に向け、本庁と広域振興局の企画部門における政策立案の新しいプロセスづくりや、縦割り行政を排した政策立案を行う組織体へと、より進化させるべきと考えますが、その仕組みはどうなるのか、検討状況についてお示し願います。

以上で演壇からの質問を終わり、質問席から引き続き質問をいたします。

〇知事(達増拓也君)

工藤大輔議員の御質問にお答え申し上げます。

これからの行政運営についてでありますが、厳しい社会経済情勢の中にありながらも、県民一人一人が希望を持ち、生き生きと働き、安心して暮らしていける社会を実現していくため、県民はもとより、企業、NPO、行政など、地域社会を構成するすべての力を結集しながら、希望あふれる岩手の未来を県民とともにつくっていきたいと考えております。

このような考え方のもと、県政運営に当たりましては、これまでもいわて希望創造プランに基づくさまざまな取り組みを実施したところでありますが、今後においては、今般、本議会に提案しているいわて県民計画を着実に推進するため、本庁における政策立案機能や情報発信機能をより強化するとともに、広域振興局が、それぞれの地域が有する多くの地域資源に光を当てた施策を地域の方々とともに展開できるよう、その機能を強化していきたいと考えております。

その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いします。

〇地域振興部長(加藤主税君)

本庁と広域振興局の企画部門における政策立案機能の強化についてでございますが、まず広域振興局については、広域的な計画の策定や高い専門性を要する業務を集約することによりまして、これまで以上に、広域的な視点から産業振興や地域振興に総合的に取り組むなど、企画立案機能を強化したいと考えております。

また、本庁におきましては、総合政策部と地域振興部の機能を統合し、政策調整部門が直接広域振興局を所管する体制とすることによりまして、地域ニーズに即した柔軟な事業の実施が可能な広域振興局と、本庁の持つ全庁的な政策立案機能が密接に結びつくことになるものと考えております。

加えまして、広域振興局長が庁議や予算編成過程など、県の重要な政策形成プロセスに参画することによりまして、これまで以上に、県といたしまして、機動的、一体的な施策の展開が図られるものと考えております。

〇30番(工藤大輔君)

現場重視の行政運営は何よりも大切だというふうに思いますし、また、新しい公共の形をつくる上で、現場の声を一層反映させるような組織体として運用をされますよう、期待したいというふうに思います。

次に、県北・沿岸振興、特にやませを生かした産業振興についてお伺いします。

やませとは、春から秋に、オホーツク海気団から吹く冷たい湿った北東風または東風のことであり、特に梅雨明け後に吹く冷気を言うことが多いとされています。やませは、北海道、東北、関東地方の太平洋側に吹きつけ濃霧を発生させますが、本県の北部沿岸地域は特にその影響が強く、冷害の原因にもなっています。同じ県北圏域でも、やませが吹く地域では、梅雨明け宣言がないまま秋へ入ったこの夏のように、毎年、日照不足や低温に悩まされております。その気温差も、同じ県北の二戸市と同じ時刻で、10度近い日もあります。

県では、これまで、県北農業研究所内にやませ利用研究室を設置し、気象や立地条件に合った新品種の開発を初め、生産性を高める試験研究を行ってきました。中山間地という耕地面積や平地の少ない地理的条件をも克服するには、市場性の高い作物の生産を初めとする販売戦略が求められますが、やませを強みとして生かせる戦略的展開についてお伺いします。

また、やませ克服10カ年事業と称し、日照不足をカバーするハウス栽培の団地化の拡大や、高規格ハウスの導入、気候や飼料確保などの面から、適地と言われる養豚などの生産法人の誘致や、生産頭数拡大に向けた販売と屠畜体制を強化するなど対策を講じるべきと考えますが、いかがでしょうか。

〇副知事(宮舘壽喜君)

県北・沿岸圏域の振興のためには、やませの気象特性や地域資源を最大限に生かした特色ある産地づくりが重要であると認識しております。このため、県では、ベテラン農家が指南役となった新規参入者等への指導の強化や、産地化の進んだホウレンソウに加えまして、果菜類などの産地づくりに取り組んできたところであります。

今後におきましては、新たな広域振興局体制のもとで、市町村や農業関係団体との連携をさらに強化しながら、将来展望に立って、県北・沿岸元気な農業確立特別対策事業で育成いたしました、夏季冷涼な気象を生かした高品質で多収栽培が可能な菌床シイタケや、養液栽培によります夏から秋までの間に収穫するイチゴなどの新たな農業ビジネスモデルを核とした産地の拡大や、地域特産物でありますヤマブドウの食品加工業者とのマッチング支援、さらには、ホウレンソウ等の量販店や外食事業者との契約取引の拡大など、マーケティングを重視した戦略的な取り組みによりまして、やませの強みを生かした県北・沿岸圏域の農業振興に一層努めてまいりたいと考えております。

〇農林水産部長(瀬川純君)

やませを生かした新たな取り組みについてでありますが、いわて県民計画のアクションプランにおきまして、夏季冷涼な気候等を生かした農業振興と農産物の高付加価値化の推進など、県北・沿岸地域の農業振興の基本的な考え方として盛り込んだところであります。

今後、この計画の実現に向けて、市町村や関係団体と連携しながらさらに具体的な戦略プランを作成し、ハウス栽培による夏秋どりのイチゴや菌床シイタケの団地化、農業の6次産業化や農商工連携による地域特産品の開発などに加え、畜産におきましても、飼養規模拡大や養豚企業等の誘致に不可欠な環境対策の実施などを重点的に支援してまいります。

〇30番(工藤大輔君)

やませは特別な気象状況です。実際、住んでみなければなかなかわからないその大変さということ、また、生産者の苦労が毎年毎年続いています。ですから、県北の農業という一くくりのような形ではなくて、特別にやませの気候にどのように立ち向かうか、どのように克服するかというような力強い対策を要望したいと思いますし、また、県北農業研究所付近は、県北地域の中でも日照や気候条件は恵まれたところであります。そこでの試験研究だけではなくて、特にもやませの地域に試験圃場を持って、そこで新品種の開発等をしなければ、本当のやませ対策にはならないと思います。現状をもう一度見詰め直していただきまして、さらなる取り組みを期待したいと思います。

次に、救急医療についてお伺いします。

昨年度に救急搬送された人数は全体で4万1、215人、そのうち、急病による搬送は全体の6割を占め、重病患者は16.5%となっています。年々増加する救急搬送は、搬送に要する時間にも影響を及ぼしており、出動から病院へ到着する時間は、平均38.1分と増加傾向にあります。

限られた医療資源で質の高い医療供給体制を確立するには、救急医療体制の改善が必要であります。特にも、救命率を高めるためのプレホスピタルケア、すなわち、病院前救護の体制整備をそれぞれの役割に応じて整えることが重要であります。

地域で行えるものの一つに、AEDを含めた心肺蘇生法の普及があります。近年、公共施設や商店街などでAEDを目にする機会がふえておりますが、そこで、まず設置数と使用可能者数についてどのように把握しているのか、お伺いします。

〇保健福祉部長(千葉茂樹君)

自動体外式除細動器、いわゆるAEDの設置数と使用可能者数についてでありますが、まずAEDの設置数につきましては、設置者からの自主的な報告により設置数を把握しているところでございますけれども、官公署や学校等の公共施設のほか、商業施設、医療施設など、県民の広く集まる場所を中心に設置が進んでおりまして、現在、県内には約700台が設置されているところと承知しております。

また、使用可能者数につきましては、一般県民が使用可能となりました平成16年度以降、医療関係団体、消防関係団体、行政等で組織しております県心肺蘇生法普及事業推進会議が開催しておりますAED使用法の講習会におきまして、延べ24万人の一般県民が受講しているところでございますが、県が掌握しておりません講習会もさまざまなところで開催されているものと考えておりまして、基本的には、高校生から高齢者まで、幅広い年代にわたりまして相当数の県民の方々がAEDを使用できるものと考えております。

〇30番(工藤大輔君)

ただいま多くの人が使用できるというふうな認識にあるように聞きましたけれども、実際、心停止をした人を目の前にして、果たしてすぐ手が動くのか、体が動くのかと言えば、多くの県民の方々は目の前にしても不安だと思います。それがどのような状況なのかということを判断できるというのは、なかなか講習会を受けては、なし得ないというふうに思うわけですが、改めて使える数、どのように認識しているのかどうか、お伺いします。

〇保健福祉部長(千葉茂樹君)

今、御答弁申し上げました内容は、あくまでも、議員御指摘のように、受講者数を前提に申し上げたところでございます。実際に今、そのような状況に立ち至った場合に、直ちにそのように使用できるかということについては、確かに今、議員から御指摘がありましたように、すぐに対応できるかということについては、すべての県民の方々ができるかどうかについてはやはり疑問があるところでございます。したがいまして、この講習会もただ1回受ければいいというものではなく、毎年とは申しませんが、できるだけ複数回受けていただいて、できるだけこの器械の操作にも熟知していただくということも重要ではないかと思っております。そのような認識のもと、この講習会が普及していきますように、さらに努めてまいりたいと考えているところでございます。

〇30番(工藤大輔君)

受講者の増加によってAEDの認知度が高まったということで、成果はあったと思います。特にも、公共施設や来場者の多い施設等では、使用可能人数がどのくらいかということを把握するだけでも、より精度の高い取り組みが各機関で一層進むと思いますので、検討をよろしくお願いしたいと思います。

また、アメリカを初め海外においては、警察官がAEDを用いて活動したり、また、パトロールする事例が見られます。救急車が既に出動しているケースやパトロール中など救急の現場に遭遇した際、訓練を受けた警察官が、ちゅうちょする県民の先頭に立って心肺蘇生を行うなどの処置ができれば、犯罪や生命を守る組織体として、警察の信頼が一層高まるものと考えます。全国でも、このような取り組みはないのでしょうか、警察本部長にお伺いします。

〇警察本部長(保住正保君)

県警察におけるAEDの配置状況でありますが、警察本部に2台、警察学校に1台、釜石警察署に1台、合計4台が配置されております。現在までのところ、交番、駐在所への配置あるいはパトカーへの積載はございません。

全国的には、警察署等にAEDを配置している県があると伺っておりますが、残念ながら、詳細についてはまだ把握し切れていないという状況にございます。

一方で、県警察といたしましては、現場の警察官が迅速かつ適切な救急処置ができるよう、AEDを使用した心肺蘇生法を初め、止血法や包帯法などの第一次的な応急手当てを行う救急法の教養訓練を実施しております。

教養訓練は、警察学校の授業に取り入れているほか、各警察署などにおいて、救急法指導員の資格を有する警察官による講習会を開催しているところであります。

ちなみに、赤十字救急法に基づきます基礎講習を受講した警察官の数でありますが、450名余ということでありまして、全警察官の2割を超える警察官が、こういった講習を受講して利用可能な状況になっているところであります。

県警といたしましては、まずは今後とも、こうした教養訓練の充実に努めてまいりたい、このように考えているところであります。

〇30番(工藤大輔君)

市町村が主体的に進める救急救命士は総数で328名、心肺停止状態にある患者への気管挿管を行える救急救命士は258名、薬剤投与を行える救急救命士は146名となっており、救急隊の機能が拡充されておりますが、第二次医療圏単位では資格取得者に偏りがあります。また、救急隊が外傷患者への処置を行うJPTEC資格取得者もふやしていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

救急隊が初めに外傷患者へ処置を行いながら搬送し、病院で本格的な治療を行うことができれば、第三次救急指定となっていながら救急医が少ない久慈、大船渡病院管内や、第二次医療圏において医師の負担が軽減されるものと考えます。救急救命士が行う救急処置の範囲の拡大についてどのように取り組む必要があるか、お伺いします。

〇総務部長(菅野洋樹君)

救急救命士が行う救急処置の範囲拡大についてでございますが、この業務範囲につきましては、平成3年に救急救命士法が制定されて以来、次第に拡大をされてきてございまして、現在では気管挿管、薬剤投与といった高度の処置まで及んでおり、傷病者の救命率向上に一定の寄与しているものと考えてございます。

現在、国におきましては、さらなる救命率の向上を図るため、業務範囲の拡大を検討している状況にございまして、今後、その動きをよく注視しつつ、その状況に至った場合においては、市町村、消防本部等と連携を図りながら、適切に対応してまいりたいと考えております。

〇30番(工藤大輔君)

ぜひ、JPTECなど、個人取得ということだけではなくて、行政においても支援をしながら、より質の高い救急隊が組織されますよう期待したいと思いますので、取り組みをお願いしたいと思います。

次に、トリアージについてお伺いします。

地域で限られた医療資源を有効かつ効率的に活用するために、救急現場において即時に病気や外傷の重症度を判断し、どのような処置を行うかの優先順位を決める仕組みが進んでいます。特にも、大規模災害や事故現場において優先度に応じて適切な医療行為を行うことは、救命率を高める有効な手段とも言えます。一刻を争う現場において、救急隊が自信を持って判断でき得るようなトリアージに関する教育システムや、医師から判断を仰ぐシステムの必要性も指摘されますが、いかがでしょうか。

〇総務部長(菅野洋樹君)

救急隊のトリアージに関する教育についてでございますが、本県におきましては、岩手県消防学校においてトリアージの実技訓練を行っているところでございます。また、各消防本部におきましても、日ごろから教育訓練に取り組むとともに、県総合防災訓練を初め、各種訓練におきましても、DMATと連携しながらトリアージ訓練を行っているところでございます。

また、医師から判断を仰ぐシステムについてでございますが、地域におきましては、日ごろから救急病院、医師会及び消防本部等で構成される地域メディカルコントロール協議会において、医師の指示、指導助言体制がつくられておりまして、このような医師との密接な関係をもとに、救急時におきましても、医師会の適切な指示、指導助言が行われるようにシステム化されているところでございます。

今後とも、これら訓練の充実や、医療関係者との連携強化をさらに図ってまいりたいと考えております。

〇30番(工藤大輔君)

次に、DMATについてお伺いします。

DMATは、大地震及び航空機、列車事故といった災害時に災害地へ迅速に駆けつけ、救急治療を行うための専門的な訓練を受けた医療チームであります。さきの岩手・宮城内陸地震の災害においては、消防、警察、自衛隊、海上保安庁、県庁等が連携をとりながら救助活動を行ったシステムが岩手方式として総務省の指針となるなど、岩手のDMATは先導的な役割を果たしていると言えます。

先般、釜石市において合同訓練を行うなど、予測される宮城県沖地震への準備や対策が講じられております。しかし、実際の運用面において、全国から応援に来たチームに活動費が発生しないケースがあるなど課題もあり、DMATが柔軟に活動できるシステムを構築する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

〇保健福祉部長(千葉茂樹君)

DMATが柔軟に活動できるシステムづくりについてでありますが、昨年度策定いたしましたDMATの運営要綱及び要領におきましては、DMATの編成や運営等の枠組みの一つとして、活動に要した経費に対する費用弁償についても定めたところであります。しかしながら、この費用弁償は、県から事前または事後に派遣要請を行った場合に行うものでありまして、議員御指摘のとおり、他県のDMATがみずからの判断で自主的に本県に出動し、かつ、その際に、具体の活動実態が伴わなかった場合等におきましては、当該DMATの活動は費用弁償の対象となっていないところであります。このため、このようなケースを含めまして、県内外から参集したDMATが連携して医療救護活動を行うためには、全国的に統一されたルールが必要となりますことから、本年度、国に対しまして、統一的な基準の制定や経費負担の明確化等について提言を行ったところであり、今後とも、国の動向等を注視しつつ、引き続き提言してまいりたいと考えております。

〇30番(工藤大輔君)

わかりました。全国的に確かに基準等が必要だというのは認識をします。ただ、余りにも時間を要するようであれば、やはり岩手としての独自の取り組みというのも大切だと思います。三陸沿岸において、いつ津波災害が発生するかわかりません。そういった状況にある中、一層の危機対応をよろしくお願いしたいというふうに思います。

次に、ドクターヘリについてお伺いします。

全国では、平成13年に岡山県で初のドクターヘリが導入されて以降、本年3月までに16道府県、18機が運航しており、東北では、平成20年1月に福島県で、本年3月には青森県で導入されました。県では、これまで、岩手県高度救命救急センター長を座長とするドクターヘリ導入可能性検討有識者会議により検討してきました。その結果、基地病院となる盛岡市内丸の県高度救命救急センターにヘリポートや格納庫の設置スペースがないことから、その付近にランデブーヘリポートを設置し、別な場所に基地ヘリポートを整備する発信基地方式での導入が可能であるという調査結果を示しました。

本県の人口10万人当たりの医師数は全国比較で37位と低い水準にあり、県北・沿岸圏域の医師不足など地域偏在の問題があります。ドクターヘリの配備は医師不足を補う有効な手段でもあり、僻地においても救急医療の恩恵を平等に受けられる手段となります。

知事は、有識者会議での調査結果を踏まえ、ドクターヘリの必要性をどのように認識され、導入に向けどのように考えているのか、お伺いします。

〇知事(達増拓也君)

ドクターヘリの導入についてでありますが、議員御指摘のとおり、ドクターヘリの配備は、県土の広い本県において、救急医療の充実にとって有効な手段であると考えられますことから、希望創造プランの工程表において、その導入検討を明記し取り組んできたところであります。また、今般、岩手県市長会、町村会を初めとする県内の関係団体や、現在開催している地域医療に関する懇談会の席上においても、ドクターヘリの早期導入について要望されているところであり、その必要性を強く感じているところであります。このため、私としては、有識者会議で検討協議された運航体制を基本に据えながら、配備先として想定される岩手医科大学とも十分協議をし調整を図るとともに、来年度当初予算編成作業の中で具体化してまいりたいと思います。

〇30番(工藤大輔君)

来年度の当初予算に具体的導入に向けて検討するという力強い答弁をいただきました。ぜひ、その実現を図ることによって、県北・沿岸では非常に救急医療に対する期待が大きいわけですので、達増県政の中で早期の実現を期待したいというふうに思います。

また、この導入に当たりまして、報告書の中で余りまだ記載をされていなかった点について、数点質問をしたいというふうに思います。

ドクターヘリは、運航会社の安全管理に対する考えにより、朝8時半から日没30分までの運航時間に限られています。そのため、夜間から早朝にかけた救急医療体制の構築が大きな壁となっています。

全国的な事例を見ると、埼玉県では、県が所有する防災ヘリを活用し、ドクターヘリの運航時間外となる夜間から早朝にかけての運航を行っており、もう既に24時間体制の運用を開始しました。県内で導入を検討している際、医療機器を新たに装備する必要や医療スタッフの配置、防災ヘリとの待機場所の課題等がありますが、夜間運航を行える海上自衛隊や航空自衛隊などに要請するなど、ドクターヘリのバックアップ体制をとることは、さらなる導入効果を生み出すと思います。

また、緊急医療に必要な機材や薬品を積んだドクターヘリの機能を有効に活用するには、隣県との医療や運航面での協力が重要となってきます。効果的な事業運営を行う上でも、既にドクターヘリを導入している青森県との連携は必要と考えますが、どのような対応が求められるか、お伺いします。

〇保健福祉部長(千葉茂樹君)

ドクターヘリの運営に関しての青森県との連携についてでありますが、ドクターヘリの配置は、各都道府県において整備する医療提供機能の一つであることから、基本的には、その運航は当該都道府県の区域内で行うものでございますけれども、広大な県土を有する本県の地理的状況や、災害により多数の要救護者が発生した場合などを勘案した場合、隣県同士で相互に支援し合うような連携体制の構築も、今後の重要な検討課題であると認識しているところでございます。したがいまして、青森県との連携につきましても、そのような観点から、今後、本県でのドクターヘリの導入、運航が具体化した時点におきまして、設置が想定されております運航調整委員会の場などにおきまして議論をしてまいりたいと考えているところでございます。

〇30番(工藤大輔君)

また、今回導入するに当たってのドクターヘリ、基地病院と隣接をしないと、また併設をしないということもあって、やはり搬送に時間を要するという課題もあります。

東署のヘリポートを利用するというアイデア、また提言もあるわけですが、救急患者、特にも外傷の患者さんを乗せかえたり、また搬送する際、その移動や搬送方法によってまた出血したりとか、命にかかわる状況になる可能性もあるとフライトドクター、フライトナース等は言っております。ですので、そういった新しくこれから導入しようとするに当たって、よりよい設置場所、またヘリポートの設置場所が重要となると思いますが、それについての考えをお伺いしたいと思います。

〇保健福祉部長(千葉茂樹君)

ヘリポートの設置場所につきましてでありますが、報告書の中におきまして幾つかの選択肢、候補地等も上げられているところでございます。

いずれ、現在の状況におきましては、病院敷地内に整備するというのが当面なかなか困難な状況でございますので、今、御指摘がありましたような課題をクリアできるように、できるだけヘリポートの設置場所等については、十分慎重に検討してまいりたいと考えているところでございます。

〇30番(工藤大輔君)

わかりました。

次に、ドクターカーについてお伺いしたいと思います。

ドクターカーは、ドクターヘリの機能と同様に、プレホスピタルケアを行う上で有効な手段と言えます。ドクターカーには、医師が高規格救急車両に乗り込み現地へ向かうものと、救急車とは別に医師を現地へ輸送しドッキングさせる方式があります。

現在、岩手医大の高度救命救急センターに1台配備されておりますが、その成果についてお伺いします。

〇保健福祉部長(千葉茂樹君)

岩手医科大学に配備されておりますドクターカーの成果についてでございますけれども、当該ドクターカーは、昭和57年度に県高度救命救急センターに初めて整備されたものでありまして、その後、国におきましては、平成3年に、救急現場への出動を目的としたドクターカー配置の補助制度を創設し、全国的な導入が進められたところでございます。

しかしながら、その後、本県におきましては、消防機関の有する救急車の高規格化が進んだことや、気管挿管や薬剤投与などの高度な医療行為を行える救急救命士の配置等が進んだため、現在は、高規格救急車と救急救命士による搬送が定着しているところであります。

全国的にも、仙台市や東京、大阪近郊などの大都市圏におきましては、ドクターカーが全面的に活用されている例はあるものの、東北隣県などを初めといたしまして多くの県におきましては、本県と同様に、消防機関による対応が一般的となっているものと認識しております。

このような状況のもと、現在、岩手県高度救命救急センターに配備されているドクターカーにつきましては、現在、当該センターから後方病院への搬送時等に、特に配慮すべき患者等を中心に年間100件ほど活用されているところでございます。

〇30番(工藤大輔君)

ドクターカーは、私は、天候不順や夜間運航ができないドクターヘリを補完する役割としても必要だと思いますし、また、宮古病院では、循環器に続いて症状として一番多い消化器内科の医師がいなくなるのではというような報道等もございました。宮古管内で救急患者が発生した際に、岩泉の済生会病院で治療できない救急患者は、宮古病院か高度救命救急センターに搬送されます。医師が同乗しての搬送もあることから、症状に応じては、高度救命救急センターからドクターカーに乗った医師がドッキングし、救急医へ引き渡したほうが、宮古病院の医師の負担が軽減するのではないかということも思います。そういった観点からも、ぜひ必要性を考えながら、また導入に向けて検討をしていただきたいと思います。

これまで救急医療について種々質問いたしたところでありますが、本県は、広い県土を有していることから、三次救急体制はもとより二次医療圏の充実強化も重要と考えます。知事の救急医療に対する認識を改めてお伺いします。

〇知事(達増拓也君)

限られた医療資源の中で、より質の高い救急医療を提供していくためには、二次保健医療圏ごとに、住民、救急医療機関、消防機関など、地域が一体となって救急患者に対応できる救急医療体制を構築することが必要であると考えます。

本県においては、初期、二次及び三次から成る救急医療体制がスタートして30年以上経過し、この間、その総合的、体系的な整備、充実に努めてきたところでありますが、近年の医師不足により、特に二次救急医療体制の維持、確保が喫緊の課題となっております。

今後は、こうした現状も踏まえて、ドクターヘリの導入なども見据えながら、引き続き三次救急医療体制の機能強化を図るとともに、専門医の育成、確保など、引き続き二次救急医療体制の整備、充実に努め、また、県民に対しても必要な情報の提供と啓発に取り組んでまいりたいと考えております。

〇30番(工藤大輔君)

救急医の観点からは、全国でも岩手医大の救命救急センターのスタッフは、恵まれたスタッフの体制にあるとも聞いております。ローテーションを組みながら、久慈、大船渡病院、または二次医療圏への派遣等を依頼するなど、さらなる拡充に取り組んでいただきたいと思います。

次に、岩手競馬についてお伺いします。

岩手競馬は、平成19年度、20年度と連続して収支均衡を達成し、現実的な売り上げに対応したコスト管理を徹底させるという現行の運営方式によって経営の安定化に努めてきました。

しかし、岩手競馬の発売状況は、長引く不況の影響で、自場発売を中心に低迷が続き、発売額の減少に歯どめがかからない厳しい状況にあります。先般開催された運営協議会では、今年度2度目の収支計画の見直しを行い、1億円のコスト調整を実施しましたが、今後も厳しい経営が予測もされます。

今月末には、来年度の開催について農林水産大臣に報告を行うこととなりますが、今後の事業継続の見通しについてどのように認識しているのかお伺いします。

あわせて、国に対し、地方公共団体金融機構納付金制度に関する見直しを求めておりますが、地方競馬存続に向けた制度の拡充について、さらにどのようなものが必要との認識をお持ちかお伺いします。

〇知事(達増拓也君)

長引く経済不況の中で、2度にわたるコスト調整の実施など厳しい事業運営が続いておりますが、今年度も3年連続の黒字達成を確実なものにして、県民の信頼と競馬ファンの期待にこたえていける岩手競馬の足固めをしてまいりたいと思います。

今後も厳しい経営環境が続くと見込まれますことから、来年度の収支計画も相当厳しいものになることについて、競馬関係者や取引先企業と十分な共通認識に立って、経費の見直しや業務の効率化をさらに進めていく必要がありますが、一方では、共同トータリゼータシステムの導入準備など、低コスト構造への転換に資する取り組みも進みつつあるものと認識しております。

また、今年度、新たに取り組んだ夏場の盛岡サマーサミットや首都圏のスポーツ紙での積極的な情報発信などが発売額の拡大に一定の成果を上げたところであり、このような取り組みを今後も続けながら、収支均衡を達成できる事業計画を取りまとめ、それを確実に達成できるよう関係者が一丸となって取り組み、岩手競馬の継続をより確かなものにしてまいりたいと思います。

地方競馬存続に向けた制度の拡充については、これまでも、納付金制度や交付金制度の見直し、補助制度の拡充などを関係団体等と連携しながら要請活動を行ってきたところでありますが、現在、地方競馬全国協会を中心に進められている地方競馬間の番組編成や日程調整などによる連携、共同の取り組みをさらに推進するとともに、これとあわせ、地方競馬と中央競馬との共存共栄に向けた連携強化のための仕組みづくりが重要と認識しており、具体的にどのような制度や方策が可能なのか、地方競馬主催者間でも協議、研究を重ねながら、必要な見直し等が進むよう取り組んでいきたいと考えております。

〇30番(工藤大輔君)

持続可能で安定的な経営基盤の構築をより確かなものにするためには、施設、設備の計画的な更新が必要であり、平成24年度から導入が予定されている地方競馬トータリゼータシステムのように、年間1億円を超える経費節減が実現するものもあります。

このように、コスト削減や売り上げ拡大に結びつく新たな施策を効果的に実施する必要があり、それに充てる財源をどのように確保するかが、岩手競馬の継続にとって避けては通れない大きな課題と考えます。

今後の設備投資のための財源の捻出方法や構成団体融資の利息の軽減等による内部留保の増大策などについて、構成団体としても検討の余地があるのではないかと考えますが、今後の対応についてお伺いします。

〇農林水産部長(瀬川純君)

岩手競馬の構成団体としての今後の対応についてでございますが、岩手競馬は、毎年度、着実に黒字を積み重ね、経営の安定化を図っていくことを基本としておりますが、厳しい経営状況が続く中で、岩手競馬の存続をより確かなものにしていくためには、現在の施設、設備の更新や経営改善のための効果的な設備投資など、将来につなげる新たな投資が必要であり、そのための財源確保の方策を見出していかなければならないと考えております。

このため、構成団体としても、どのような方策を講じることができるのか、県議会での御意見などを踏まえ、新計画のルールとの整合に十分留意しながら、現在、県と奥州市、盛岡市との間で実務的な検討を行っているところであります。

岩手競馬のPRやファンの拡大など、構成団体の立場で、これまで取り組んできたものも含め、岩手競馬の安定的な経営基盤を築いていくための方策について、さまざま御意見をいただきながら幅広く検討してまいりたいと存じます。

〇30番(工藤大輔君)

ぜひともそのような方向で、一定のルールがあるとは思いますが、収支均衡を続けるということ、そしてまた力強い競馬事業運営を進めるということにおいて積極的な検討をお願いしたいと思います。

次に、県産木材、林業振興についてお伺いします。

日本の森林面積は約2、500万ヘクタールで国土に占める割合は67%と、先進国の中でもフィンランドに次ぐ第2位の森林大国でありますが、森林の荒廃、木材産業の低迷、国際競争力の低下など、多くの課題も同時に有しております。

これまでの林業施策は、造林や育林が中心であり、国産材利用の視点に立っておらず、事業者任せであったことが要因と言えます。

実際、林野庁の統計資料によると、年間約7、900万立方メートル増加する森林量に対し、木材総需要量は7、800万立方メートルであることから、単純計算で見れば1年間に増加する森林量で需要量を賄えるものとなります。いわば木材需給率100%が達成できる産業のはずですが、供給量の内訳は、24%が国産材、76%が輸入木材となっております。ストックがあるのに活用されないといういびつな構造を打破し、生産と消費のバランスを整えることが何よりも求められます。

さきの決算特別委員会において、2007年から2009年度の公共事業における利用行動計画では、目標に対し106%を達成する見込みであるという答弁がありました。2010年以降の利用行動計画において、一層高い目標数値を設定し木材利用を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。その方針とあわせてお伺いします。

〇農林水産部長(瀬川純君)

利用行動計画に基づく木材利用の推進についてでありますが、景気の後退から、本県の新設住宅着工戸数は非常に落ち込んでおり、木材産業に深刻な影響を与えることを懸念しております。

このことから、本年6月に開催した岩手県公共施設・公共工事木材利用推進本部会議において、来年度以降も新たな行動計画を策定し、県みずからが率先して県産材利用に取り組んでいくことを確認したところであります。

行動計画の策定に当たっては、暗渠排水、治山ダム型枠、自然公園施設、駐在所など幅広い用途での利用推進に十分考慮し、木材使用量については、現計画同様、高い目標数値となるよう努めるほか、使用した木材の二酸化炭素固定量の評価を行うなど、環境への貢献度等の新たな視点で目標を設定するなど幅広く検討を行ってまいります。

〇30番(工藤大輔君)

今、部長が言われましたように、住宅着工は大きく減少しております。国土交通省が先月末に発表した10月末までの新設住宅着工数は、約50年前の水準まで落ち込んだ前年よりさらに29.8%減の65万戸と、数年で100万戸を割り込むことが確実視されています。このことは、小規模零細企業の多い木材業界は当然ですが、すそ野の広い建築関連産業が県内経済に及ぼす影響も少なくありません。

私は、北海道、また宮崎県等に次ぐ全国上位の丸太生産量や森林面積を有する本県にとって、資源を活用した地域づくりや木材産業の育成を図ることは、ぬくもりある岩手のイメージを高め、環境政策にも合致し、県民相互の利益に結びつくと考えます。

そのために、県の公共施設整備における県産材使用の義務化、市町村が整備する公共施設における県産材使用の優遇施策、県産材を使用した木造住宅への支援策など誘導策が必要であると考えます。県の考え並びに今後の必要な具体的な施策について改めてお示し願います。

〇農林水産部長(瀬川純君)

県産木材使用の具体の誘導策についてでございますが、県では、公共施設等の建設工事の発注に際しては、建設資材は県産とするよう請負者に対して要請しているところであります。

また、市町村が行う公共施設や民間施設の整備につては、森林整備加速化・林業再生基金事業により、県産材の利用を支援しております。

一方、県産材を活用した木材住宅への支援については、木材業界のみならず建設業界からも強い要望があり、また、県民アンケート調査でも、木造住宅建設への支援や、工務店等の県産材の積極利用に対するニーズの高さが明らかとなったところであり、住宅分野における県産材需要拡大策が必要と認識しております。

今後、県産材住宅の建設促進のため、地域の製材所や工務店等と連携した取り組みについて、新たな仕組みや支援のあり方を幅広く検討してまいります。

〇30番(工藤大輔君)

これまで、日本の状況、また政策を見れば、本当に不思議なことに、資源がないと言われる日本は、資源を買って、物をつくって海外へ輸出してきました。木材資源があっても、それでも買い続け、手入れをしない、あるいは産業を弱める政策が続いてきたと思います。

このようなことが長く続いたことによって、森林大国は木材産業後進国になってしまっております。使うほうの利用拡大を進めなければ、幾ら育林しても、造林しても、ふん詰まり状況になってしまうのではないでしょうか。

今こそ利用促進に向けた積極的な施策を来年度予算で、まさに県が木材推進県、また先進県となるような、そのような注目されるような方策をもって来年度から取り組んでいただきたいと思いますが、改めて部長の決意をお伺いします。

〇農林水産部長(瀬川純君)

林業振興あるいは木材産業の振興に向けまして、いろいろ御指摘いただいた点も踏まえまして、来年度以降の施策に十分取り組んでまいりたいと考えております。

〇30番(工藤大輔君)

知事におかれましても、これまで食産業の分野についてトップセールス等あったわけですが、なかなか木材関係についてトップセールスというのは、報道等がされにくいのか、余り県民の目に触れることは少ないのかなと思いますので、木材分野でもトップセールスを積極的にやっている、また、ペレットストーブ、チップボイラー等の普及をこれまで以上にやっているなど、そういった目に見える形での展開についても、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

次に、いわての森林づくり県民税についてお伺いします。

本県では、豊かな森林環境を将来にわたって保全し、森林の公益的機能の維持、増進を図ることを目的とし、平成18年4月1日から、いわての森林づくり県民税を導入しました。

森林が持つ機能には、コミュニティの再生、ものづくり人材の育成、生物の多様性の促進、森林吸収率を高めるCO2削減、温暖化対策、災害の未然防止などというような認識は、多くの県民の方々は、もう既にエコ教育や環境を重視したさまざまな施策において知っているものではないかと思います。

改めて予算を計上し積極的な周知をするというよりも、国の施策で足りない部分を補う財源として、積極的な木材産業振興に財源を活用するほうが効果的と考えますが、そのためにも、いわての森林づくり県民税の期限を延長し利用範囲を拡大すべきと考えます。見解をお伺いしたいと思います。

〇農林水産部長(瀬川純君)

いわての森林づくり県民税についてでございますが、この県民税は、県民全体の負担により、豊かな森林環境を良好な状態で次の世代に引き継ぐことを目的に創設されたものでございます。

現在、森林所有者がみずから管理できず、公益上重要で特に緊急に整備が必要とされる森林の整備などを進めているところでございますが、条例が適用される平成22年度まで計画どおり整備を進めたとしても、整備が必要な森林の3割程度にとどまることから、継続して取り組む必要があると考えております。

そのため、この県民税の今後のあり方については、外部有識者等で構成する事業評価委員会を初め、幅広く県民の御意見を伺い、県議会で御議論いただきながら検討してまいりたいと思います。

また、県民税の利用範囲の拡大については、今後、事業評価委員会で事業の成果をしっかりと評価、検証した上で、平成23年度以降の県民税のあり方を議論する中で検討してまいりたいと考えております。

〇30番(工藤大輔君)

平成23年度以降の県民税のあり方を議論しながらということと、あとは議会等の意見も考えながら検討するということで、これは、実際続けるのか続けないのかよくわからない答弁であったわけですが、改めてお伺いしたいと思います。

〇農林水産部長(瀬川純君)

県民税の延長のお話につきましても、これまでの成果をしっかり事業評価委員会で御検証いただいた上で、幅広く検討させていただきたいと考えております。

いずれ、この県民税の延長の有無にかかわらず、こうした取り組みを進めていくことは必要と考えているところでございます。

〇30番(工藤大輔君)

検証、評価ということで、やった結果は、私は全くないとは言いませんし、今以上の使い方をすれば、さらによい効果が出ると考えております。

その手順を踏まなければならないという趣旨の答弁であったと理解しますが、例えば、今年度の国の当初予算で示された重点施策には、条件不利未整備森林の早期解消等による森林吸収源対策の一層の推進というものに対しては2、600億円が投入されています。また、反面、需給変化に対応した木材産業の確立と国産材利用拡大については、わずか10億円余の計上となっております。

このように、環境対策を重視した森林整備というものをこれまでと同様に当初予算では示そうとして、また実行しようとしている。にもかかわらず、木材全体の、産業全体の問題というものを、全くこれでは理解しないような政策ではなかったのかと私は思います。ですので、県としてどのような対策がいいのか、環境というものも確かに重要ですが、産業として成り立つことこそ、環境面に大きく寄与し、森林所有者が森林を適正に管理する、また森林教育を行える、そのようなことに結びつくわけであります。

そのことは、もう部長の立場からして、前からも話を聞かせてもらい、わかっておりますが、ぜひとも森林税を延長し、利用拡大、また利用の実態を検証しながら積極的な施策に反映されるよう強く要望したいと思います。

また、茨城県では、県産材を50%使用した住宅90戸に対し20万円の助成をする制度を行ってきました。そして、森林づくり県民税のような趣旨の森林湖沼環境税という税を財源として150戸に拡大させています。ですから、他県では同様の趣旨の新税を使って直接の支援をやっている事例もあります。ですので、本県においてもそのような使われ方が積極的に行われることを強く要望したいと思います。

次に、いわゆる91社問題についてお伺いします。

平成17年6月21日、岩手県が発注する建築一式工事において、談合行為が長く続けられていたとして、公正取引委員会は建築A級の91社に対し、独占禁止法に基づく排除勧告を行いました。

3年3カ月に及ぶ審判の結果、審決案では、遅くとも2001年4月から受注調整を行っていたということ、再発防止策を講じ公正取引委員会にその報告をすること等を求める内容の審決案が送付されました。

その後、公正取引委員会に対し74社が異議申し立てを行い、これから直接の意見陳述を行うこととなっておりますが、過去の全国的な事例から見ても、何もなかったという結論には至らないことが十二分に想定されます。

日刊岩手建設工業新聞社の岩手建設年鑑2009によりますと、昨年の完工高で上位20社に14社が該当していることや、振興局単位で見ても規模の大きい企業であることから、公正取引委員会が指摘する談合事案が確定すると、県内経済や雇用に与える影響は一層の深刻さを増します。

年度内には確実に審決が確定する見通しが大きい中、基準どおりの指名停止を行った場合、どのような影響が出ると想定しているのでしょうか。

また、県内に及ぼす影響を総合的に判断しながら、どのような対応を行うのか、検討状況についてお示し願います。

〇総務部長(菅野洋樹君)

いわゆる91社問題で審決が下された場合の県の対応等についてでございますが、先ごろ公正取引委員会から審決案が示されたところでありまして、御指摘のとおり、該当する事業者においては、異議申し立ての手続等を行っているものと聞いているところでございます。

現時点では、最終的な審決の内容を予測することは困難な状況でございまして、審決の内容を前提として、県としての対応やその影響についてお示しすることもまた、困難な状況にあることを御理解いただきたいと思います。

具体的な対応が必要となった場合におきましては、平成17年に設置いたしました公正取引委員会排除勧告に関する対策会議の場を活用し、関係部局一体となって必要な対策を講じてまいりたいと考えております。

〇30番(工藤大輔君)

県営建設工事に係る指名停止等措置基準は、内部基準であるため政策判断が可能な分野であると考えます。その判断基準は妥当性があるかであって、法律上の問題はありません。

この入札制度は、平成15年度に中央公共工事契約制度運用連絡協議会が、談合等の不正行為に対する抑止力の強化のために改正されたものであり、不正行為をした会社をつぶすために決められた制度ではありません。また、当時は、ここまで多数の、しかも雇用や関連企業に影響が大きい県内大手の会社が該当すると想定したものではなかったことと推察されます。

現在の経済状況がもたらす企業や家庭への影響の度合いは深刻なものとなっており、それゆえ、判断に苦慮すると思います。違反行為をルールに照らし合わせた行政上の適正な判断を行っても、雇用、経済情勢等総合的見地からの処分を行っても、今事案について、私はどちらにおいても妥当性があるものと考えます。知事の判断に注目が集まるところですが、所感をお伺いします。

〇知事(達増拓也君)

いわゆる91社問題についてでありますが、御指摘のとおり、本県にとって非常に大きな問題であると認識しております。

本事案については、審決案に対して異議を申し立てた建設会社の直接陳述が、来年1月8日に行われる予定と聞いているところであります。

本事案については、現在係争中であり、現時点において、県としての対応をお示しすることは困難であると考えております。引き続き、事案の推移を注視しながら、関係部局に十分な調整をさせつつ、私としても適時適切に必要な判断をしてまいりたいと思います。

〇30番(工藤大輔君)

審決案が出た際、県でも内容を精査した上で、即時の対応が求められるわけであります。国においても地方においても、今は経済、雇用の非常事態宣言発令中と言ってもいいほど厳しい状況下にあり、どのような判断をしても、私はどちらがベストとは言い切れないほどの影響が想定されるものと考えます。いずれのケースにしても、連鎖倒産が発生しないようなセーフティネットの創設、雇用対策や当面の生活支援策、学習環境にある子弟への奨学金による支援など総合的な緊急対策を設けながら、係る影響を最小限にとどめられ、適切なまた適正な御判断をされますことを望みたいというふうに思います。

最後に、高校再編についてお伺いします。

本年9月、第2次県立高等学校長期構想検討委員会が、今後の県立高等学校のあり方について報告書をまとめました。市町村における高校の位置づけは、小・中学校と同様に地域づくりと大きなかかわりがあることや、通学における時間、距離、また、その費用などから、住民にとっても高校再編は大きな関心事となっています。

県北地域で開催された懇談会において、学級編制を現行法令の40人から35人への規制緩和や、小規模校の存続を望む意見が相次ぎました。

学級規模のあり方について報告書では、教員の配置や教育課程の編成、生徒会や部活動における学校の活性化などを考えると、4から6クラスが望ましい適正規模としております。これに対し、地域において、3クラス以下をすべてなくすのではないかと危惧する声がありますが、小規模校としている1学年3クラス以下の取り扱いについてどのような考えを持っているのか、お伺いします。

〇教育長(法貴敬君)

小規模高校の取り扱いについてでありますけれども、先般いただいた第2次県立高等学校長期構想検討委員会の報告では、専門教員の配置や部活動の状況、社会人となる前段階として担うべき高校の役割、あるいは今後の生徒数の減少や各ブロックの学校数を考えて、これは十数年先を展望した場合に、県全体を見据えた一定の方向として、学校規模は、1学年4から6学級程度が望ましいというふうに示されているところであります。

また、望ましい学校規模の考え方とあわせて、各学校の学校規模を検討するに当たってはということで─これは検討委員会の方たちが、議員御指摘のとおり、各地域に出かけていって、いろんな懇談会で御意見を伺ったところの修正的に出てきた言葉でございますけれども─望ましい学校規模を念頭に入れつつ、各ブロックにおける将来見込まれる生徒数に加えて、地域の産業構造や振興方策を踏まえながら、地域の実情に応じた規模や配置としていくことが必要である。その中で、小規模校の対応を検討していくことが必要であると示されているところであります。

今後、県の教育委員会としては、この検討委員会の報告の趣旨を踏まえながら、各学校の規模や配置に関する県全体の方向性について年内に案をお示しし、また、各地域に出かけていって皆さんの御意見を伺いながら、年度内に成案を取りまとめたいと考えています。

これは全体の方向性ですので、また、来年度以降に個別高校の規模等の検討を進めていく予定でありまして、検討委員会の報告を踏まえながら、ブロックごとに学校規模や配置を検討する中で、きめ細やかに地域の意見を伺いながら、その対応について総合的に検討していくというふうに考えております。

〇30番(工藤大輔君)

そこの検討の場で決めるということなわけですが、3クラス以下というものについては認めるのか認めないのか、基本的認識をもう一度お示しをいただきたいと思うんです。どうも、なくすんじゃないか、4以上のクラス編成のみにするんじゃないかというふうなことが言われる中、小規模校の必要性というのは十分に御理解をいただいているところだと思いますので、改めて御答弁をお願いしたいと思います。

また、県では、これまで、地域に不足する職種の人材を育成することを目的に、スーパーティーチャーの配置や進学支援ネットワーク事業を導入し、難関大学への進学を進めてきました。進学目標達成や人材育成を掲げた学力向上プロジェクトとして、平成18年度に事業を導入してから4年が経過しますが、その成果と課題についてもあわせてお伺いします。

〇教育長(法貴敬君)

3学級以下を残すのか残さないかということにつきましては、来年度以降に、十分きめ細やかに対応してまいりたいというふうに考えております。

それから、今お尋ねのありましたスーパーティーチャーの配置といわて進学支援ネットワーク事業の成果と課題についてでありますが、いわゆるスーパーティーチャーと言われていますけれども、具体的には、指導担当教頭及び主任指導教諭の配置をということになっておりますけれども、その成果としては、校内外の教員に対する指導を通して、すぐれた指導方法が広く共有され、教員全体の指導力向上につながって、学校現場の人材育成に役立っているということが挙げられています。

また、課題については、校外の教員に対する指導の機会を、今後ますます、一層確保していくことが必要であるというふうに考えています。

次に、進学支援ネットワーク事業の成果としては、生徒同士が切磋琢磨する機会、あるいは教員の研修と情報交換の場が設けられたことによって、生徒の進学意識の向上や、教師の指導力の向上と進学指導体制の整備が図られたこと、この事業によって、地域社会の発展に寄与する人材の育成に取り組んでほしいという地域の期待にこたえて、高校教育に対する信頼性が向上したということが報告されております。

今後の課題としては、今、3年生を中心にやっていますけれども、より早期に、計画的、継続的な進学指導を一層充実させながら、生徒が希望を実現しようとする意欲を、高校1年生に入ってきたときに持っていた意欲を維持して3年までに取り組めるというふうな取り組みを進めながら、進学希望者の拡大を図っていくことが必要だと考えております。

〇30番(工藤大輔君)

ゆとり教育世代が高校進学を迎え、教育力の格差の広がりが懸念されております。今年度の入学者選抜学力検査において、どのような特徴があったのでしょうか。県全体の平均点、盛岡、久慈、二戸教育事務所管内の平均点はどのようであったのか、お伺いします。

また、地域において進学校と位置づけられる盛岡第一、盛岡第三、久慈、福岡等の合格者の平均点並びに最低合格点をお示し願います。

〇教育長(法貴敬君)

今年度の入学者選抜学力検査の特色についてでありますが、今年度の学力検査は、教科の特色を生かして、基礎的、基本的な事項の理解度をはかる問題から、表現力、理解力、思考力など、応用力をはかる問題まで幅広く出題したところであり、その結果、受検生の中学校における学習の成果が正確に得点に反映されたものと考えております。

県全体の5教科合計の平均点は、受検者が248.2点であり、合格者の平均点は252.7点となっております。

次に、各学校の最高点、最低点をお示しくださいという御質問でしたけれども、高校の一般入学者の選抜は、学力検査のみならず、調査書、面接、小論文または作文、適性検査の結果を総合的に判断して各校で合否を決定しているということでありまして、入学選抜における学力検査の得点は、各校の入学者選抜に使用された資料の一部にすぎないこと、また、教育事務所ごとあるいは学校ごとの平均点や合格最低点を公表していくということは、一面の数値のみによって各校の合否状況が判断され、各校の序列の判断にもつながるおそれがあることから、今後の入学者選抜の適正な実施に支障を来すおそれがあるということもあり、公表できないものであり、御答弁しかねることを御理解賜りたいというふうに思います。

〇30番(工藤大輔君)

中学校では、生徒の高校進学に当たって、内申点と学力を考慮した指導を行っていることから、本来であれば、現場ではもう既にわかっていることではないのかなということを指摘させてもらいます。

また、入学時において、学力の開きが3年次における進路の選択にも一定の影響が出ていることも想定されます。盛岡第一、盛岡第三、花巻北、水沢、一関一高の大学の進学状況は約80%、専門学校への進学が10%台に対し、久慈、福岡高校は大学が60%、専門学校が10%から20%という特徴があります。ですから、学校規模ありきではなくて、生徒の志望状況や傾向、その高校が何を目指すかという役割を明確にしながら、ブロック単位で必要な高校のタイプを決め、募集人数を定めるべきというふうに思います。そのような基準からすると、福岡高校で200名の募集に対し175名しか平成21年度は合格しなかったように、実際、募集人数が多いのではないかということも想定され、1学年2クラスから3クラスが適正ではないかというふうに思いますので、改めてこういった点についても検討を願いたいと思いますし、今後のスケジュールにおいて、平成22年度の再編計画の検討としておりますが、地域のニーズを把握しながら、ブロックごとの役割を明確にしていかなければなりません。地域との話し合いなど、どのような方法で合意形成を図り成案をまとめていくのか。成案作成時期までのスケジュールとあわせてお伺いします。

〇教育長(法貴敬君)

先ほどの最低点、最高点というのはなかなか難しいと思いますが、あえて一言だけ申し上げますけれども、県内で各地域の合格者の平均点の傾向は毎年度一定しない。また、学年ごとに、地域ごとにさまざまなばらつきがあることもあります。ただ、ここ数年、盛岡地区、花巻地区以外は、すべての地域で県平均を下回っているということもあえて申し上げます。

それから、今後のスケジュールですけれども、来年度、県立高校の整備計画の策定に当たっては、議員御指摘のとおり、地域のニーズを把握しながらブロックごとの方向性を明確にする必要があることから、地域より意見を伺う機会を十分に設けながら進めたいというふうに考えています。来年度にそのような取り組みを行いながら、新しい整備計画は、来年度末あるいは平成23年度前半ごろをめどに策定できるように進めてまいりたいと考えております。

〇副議長(小野寺研一君)

以上をもって、工藤大輔君の一般質問を終わります。