くどう大輔発言録

平成24年2月定例会 本会議・代表質問

(2012年02月23日)

〇33番(工藤大輔君)

質民主党の工藤大輔でございます。

このたび、先輩、同僚議員の御配慮をいただき、会派を代表して登壇する機会を与えていただいたことに感謝を申し上げます。

新たに選任されました千葉副知事におかれましては、持てる手腕を大いに発揮されますことを御期待申し上げます。

質問に入るに先立ち、昨年の3月11日、我々岩手県民にとって生涯忘れることのできない大災害、東日本大震災津波が発生し、いまだ行方不明となっている方も多く、ここに改めて、とうとい命をなくされた方々に哀悼の意を表し、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。

間もなく1年が経過しようとしておりますが、被災地の現状は多くの課題を抱えております。被災地の再建に向け、先般始動した復興庁など関係機関と連携を強めながら、多くの難題を乗り越え、被災地の早期復興をなし遂げることを願い、通告に従い知事に質問をいたします。

新年度は、県政の最重要課題である復興に向け、復興計画に掲げた、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造の実現のための基盤を確立していく復興元年であるとともに、いわて県民計画第2期アクションプランの実質的初年度となる年であります。

県では、これまで県北・沿岸振興本部を設置しながら、自然的、地理的な制約が大きい県北・沿岸圏域の振興にも意を用いて、県土の均衡ある発展を目指してきました。

私が思う本県の振興策は、地域が持つ個性や特性を徹底的に生かしていくことであり、広く圏域をとらえ、一体性を持って取り組むことが優位性を高めていきます。

東日本大震災津波後、全国や世界から復興への支援の手が差し伸べられており、今後の県政運営に当たっては、開かれた復興という他の地域から寄せられる力も糧としながら、自分たちのすぐれた地域の資源を生かし、潜在する地域力を発揮させていくことが重要であると考えますが、知事の御所見をお伺いします。

また、甚大な被害を受けた沿岸地域の復興を確かなものにしていくには、内陸地域の産業経済基盤をより高め、沿岸地域を強力にサポートすることも重要であります。

県が、復興計画策定後、直ちに県行政全般にわたる施策を盛り込んだ第2期アクションプランの策定に取り組んだことは、評価するべきものであります。

復旧、復興を優先する中で第2期アクションプランを策定されたねらいはどのようなものであったか、特に意を用いた分野についてお伺いします。

次に、滝沢村の市制移行についてお伺いします。

今日、社会経済の変化を背景にしながら、住民に身近で一番近い行政体の果たす役割は、大きく変化しようとしています。

基礎自治体は、自主的かつ総合的な体制への転換が不可欠であり、地域のあり方については、住民一人一人が考え、判断し、みずから行動する住民自治を深めることが、真の地方自治の確立に向けた手段となることは言うまでもありません。

国でも、昨年、地域主権改革関連法が成立しており、自律性を高めていくための権限移譲と財源措置を的確に講じながら、時代の転換期に来ても自治力が高まる行政体となるよう、国と地方が一体となって取り組むことが求められています。

このような中、滝沢村では、将来の展望を見出し、実効性の高い行政体のあり方を調査研究し、熱心に議論を重ねた結果、人口5万人の自治体として最も適した行政体制は市であるとの結論をまとめ、平成26年1月に市制施行を目指すこととしたと伺っています。

私は、地方分権時代に対応した望ましい基礎自治体のあり方を主体的に議論し、安定的に住民サービスの維持と一層の向上を図るために、行政体制の整備を行おうとする滝沢村の姿勢を高く評価するものであります。

また、2月16日には、滝沢村長及び滝沢村議会議長から、知事と県議会議長へ要請書が提出されております。市制移行の実現に強い意思を感じるものであり、県としても、滝沢村の総意を酌み取り、大きな支援をする必要があると考えます。

そこでお伺いしますが、滝沢村の市制移行に向けたこの1年の取り組みについて、知事はどのように評価し、喫緊の具体的課題をクリアすべく、どのような支援を行っていくお考えか、御所見をお伺いします。

次に、平成24年度当初予算についてお伺いします。

平成24年度当初予算案は、総額1兆1、183億円余の県政史上最大の予算規模となっており、骨格予算であった平成23年度当初予算と6月補正予算を合わせた前年度予算額の6、953億円と比較して60.9%の増となっています。

このうち東日本大震災津波からの復旧、復興予算として4、652億円余、平成22年度からの災害関連の累計予算額は1兆1、634億円余に及んでいます。

知事は、初日の知事演述の中で、この当初予算について、被災者一人一人の復興を支援し、地域の復興の流れを加速させていくことに意を用いながら、大震災津波からの復旧、復興を着実に推進するいわて復興元年予算として編成を行ったと述べるとともに、大震災津波からの復興は岩手全体の復興でなければならないとの認識のもと、内陸地域と沿岸地域が一体となって各種施策を推進していくと述べております。

当初予算案の編成作業に当たり、知事は、どのような思いを込め、政策として具現化させようとしているのか、特に配慮し、重点的に対応した分野についてお示し願います。あわせて、政策実現に向けた組織体制についてもお示し願います。

次に、再生可能エネルギーについてお伺いします。

本県には、松川と葛根田の地熱、稲庭高原や釜石ウインドファームに代表される風力などがあり、千葉大学などが取りまとめた永続地帯2008年度版報告書によると、自給率に換算すると全国で第6位となる10.43%を自然エネルギーから調達している環境県であります。

いわて県民計画第2期アクションプランでは、自立分散型のエネルギー供給体制に向けて、再生可能エネルギーの地産地消や事業化に取り組むとされ、国では、再生可能エネルギー等導入地方公共団体支援基金事業を設け、本県の配分額は140億円を交付する方針のようであります。

今後、本事業によりどのように防災拠点の整備を行うのかお伺いします。

あわせて、先般、県再生可能エネルギー推進本部を設置し、環境王国岩手の一層の推進に向け体制を強化しました。昨年制定された電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法により、ことし7月から電力会社に義務づける固定価格買取制度が始まることになっていますが、適切な買い取り価格や期間設定、安定した電力を系統へ接続するための支援が決められることにより大きく動き出します。

風力、太陽光については、大規模発電施設立地を促進するため既に各地で調査が実施されてきましたが、誘致の見通しをどのように立て、その実現に取り組むのかお伺いします。

また、林野庁は、補助事業を設け、被災県において大震災津波で発生した瓦れきや間伐材を利用する大規模なバイオマス発電に取り組ませようとしています。これは、災害廃棄物の処理だけでなく、林地残材の有効活用を図る上でも林業振興に寄与する施策となります。

木質バイオマス発電についてどのように今後取り組むのか、お伺いします。

次に、地域産業の振興についてお伺いします。

被災者が一日でも早く安定した生活を取り戻すためには、第1に、これまでの地域産業を復活させるとともに、新規事業者の被災地域への進出による新たな雇用を生み出す施策の実施が求められます。

被災企業には、新たな設備投資や二重債務、資金繰り等の金融面での課題のほか、商品を出荷できない期間が続いたことにより既に取引先を失っているケースも見受けられ、大きな不安を抱えています。

県が、産業再生特区の申請を行うなど、いち早く体制を整えようとしたことに、知事の地域産業の振興に寄せる思いを強く感じることができます。

私も、地域産業の再生こそ被災地の復興に向けた一番のかぎとなる施策と考えており、地域全体で安定した経済活動が行われるよう、金融、雇用、税制など、あらゆる面から強力にサポートし続ける必要があると考えます。

そこでお伺いしますが、沿岸被災地における企業の再建状況を踏まえ、安定した雇用と直結する地域特性を生かした産業の振興をどのように進めるお考えでしょうか。期待される企業誘致の見通しとあわせてお示し願います。

次に、療育センターの整備と運営方針についてお伺いします。

県立療育センターは、昭和32年に県内最初の肢体不自由施設都南学園として開設以来、県内の療育を担う拠点として、その役割を果たしてきました。

しかし、今日では、障がい児部門においては超重症児の受け入れや発達障がい児の診断と支援が、障がい者部門においては高次脳機能障がい者の受け入れやリハビリテーションを必要とする患者の増加など、利用者ニーズに変化があらわれています。

加えて、東日本大震災津波が発災以降、在宅での生活が困難となり、超重症児の受け入れ要請があるにもかかわらず、受け入れ可能な医療機関が限られている実情もあり、施設機能の再編が求められております。

新たな療育センターで高度な療育機能を提供するには、専門性やマンパワーにおいて他の医療機関やいわてリハビリテーションセンターとの連携が不可欠であると考えますが、今後の整備と運営方針をお伺いします。

次に、放射性物質対策について、幾つかお伺いします。

初めに、災害廃棄物対策についてお伺いします。

震災発生から間もなく1年を迎えようとしていますが、被災地には、いまだに大量の瓦れきが残されております。

県は、昨年8月30日に岩手県災害廃棄物処理詳細計画を策定し、それに基づき、宮古、山田、大槌の3地区において破砕、選別ラインの建設、宮古市に仮設焼却炉の設置、さらに、県内処理の拠点となる太平洋セメント大船渡工場を初めとする民間事業者や県内市町村一部事務組合の清掃センターなど、処理施設との調整等に尽力されていると承知しています。

限られた期間で全体量435万トンの膨大な災害廃棄物の処理を進めようとする中、これまでの取り組み状況と成果をどのように評価しているのでしょうか、お伺いします。

特に、計画に定められている期間までに処理を完了するかぎは、放射性物質の数値基準への理解と広域処理の推進にあると考えます。住民の放射能汚染に対する懸念や不安により受け入れに踏み切れない自治体も多い中、昨年11月から、東京都が宮古市の災害廃棄物の受け入れを開始されました。今年度内に1万1、000トンを引き受けていただくと聞いており、東京都の英断に感謝する次第であります。

この取り組みを契機に、受け入れに前向きな姿勢を見せる自治体がある一方、受け入れされる地域は、放射性物質の検出が少ない沿岸北部に集中しております。

このような状況において、県は、詳細計画で予定している57万トンの受け皿をどのように拡大していこうとしているのか、また、受け入れされる地域が県北に偏っている現状をどのように打開しようとしているのか、その見通しを含めてお伺いします。

次に、食品の新基準適用等の課題と対応についてお伺いします。

放射性物質の食品への影響は広がりを見せており、県民の不安は、今なお大きいものがあります。県ではこれまで、検査計画を策定し、県内160地点における土壌調査や航空モニタリングに基づくマップの作成などの対応に当たってきましたが、放射性セシウムの半減期は30年とされ、健康への影響がないとされる数値になるまで、除染や継続的監視が必要となります。

4月1日から食品に含まれる放射性セシウムの基準値が変更されることとなり、検査体制の強化が求められますが、新基準適用への対応を初め、放射性物質対策にはどのような課題があると認識し、施策を講じようとしているのか、お伺いします。

また、県内の中でも放射性物質が比較的高い数値で検出される県南地域の対策を強化すべきと考えますが、いかがでしょうか。

次に、干しシイタケについてお伺いします。

先般、干しシイタケから基準値を上回る放射性セシウムが検出され、一部の県内産で出荷の自粛や回収をする事態となりました。以前から干しシイタケに関して安全性の基準の明確化や検査体制、風評被害の対策が強く求められており、生産者には不安といら立ちがあります。

今回の問題で肝心なのは、まず第1に、基準値を超過した平成23年産の干しシイタケについて、確実な賠償の実現と風評被害を受けている産地への補償や、平成24年産についての安全性の確保と新たな風評被害の防止、そして、今後も生産を継続できる環境整備の3点に分けて対策を講じる必要があります。

特にも、出荷自粛の早期解除に向けた安全性の確保では、国内有力産地としての県の強いリーダーシップが求められます。風評被害への有効なカードとなりますので、県としての対応策をお示し願います。

また、この問題の最大の課題は、生産の継続環境をどう整えるかであります。安全性確保に係るほだ木の更新費用の全面支援にとどまらず、再生産を可能にするため、更新から収穫までの間の収入補償まで踏み込んだ県独自の対策も検討すべきと考えますが、御所見をお伺いします。

放射性物質の最後に、原発事故に起因する本県の損害額と今後の対応についてお伺いします。

東京電力に対する損害賠償請求は12月概算払いで約19億円となりましたが、直接的な被害があるにもかかわらず、いまだ賠償の対象になっていないものが多く、風評被害の定義もあいまいであります。原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針にその対象として載らない場合、食品であっても、物産品であっても、観光分野であっても、東京電力が賠償に応じようとしない状況にあります。

原発事故に起因する本県の損害額は、現時点でどのような規模になっていると見込まれるのでしょうか。干しシイタケの早期賠償を含め、これから国や東京電力へどのような対応をとっていくのか、あわせてお伺いします。

次に、医療体制の拡充についてお伺いします。

大震災発災以降、被災地の医療提供体制においては、県央部の県立病院から沿岸部の県立病院への職員派遣や県医師会の災害医療チーム、JMAT岩手を初め、県内外の応援を得ながら、診療体制の充実に向けて取り組んできたところであります。

被災地における医療機関の被災状況は、県立の高田病院と大槌病院及び山田病院が全壊したため、仮設診療施設で診療を行っているほか、26の民間医療機関が再開のめどが立っておらず、被害に遭われた医師や歯科医師の方々もおられると聞いております。

そのような中、県では、復興特区法に基づく岩手県保健・医療・福祉復興推進計画の認定申請を行い、2月9日に認定をされました。この計画に基づいて、病院の医師等の医療従事者の配置基準が緩和されることとなり、県内の病院運営の安定化が図られ、被災地の医療の確保が可能となりました。

これまでも県北・沿岸地域の医療供給体制は脆弱であったわけですが、今後どのようにして民間医療施設とともに地域医療の再生を行っていくのか、お伺いします。

あわせて、救急医療体制についてお伺いします。

通常期の救急医療としても被災地の救急医療としても期待をされているドクターヘリが、4月の試験運航を経て、いよいよ5月から本格的に運航されます。

導入を決めた知事が目指す岩手の救急医療体制の拡充への思いと、医療体制の強化を進める上で今後行おうとする具体策についてお示し願います。

また、県境における救急搬送体制や大規模災害、事故時における対応など、北東北3県での連携体制を構築する必要があると思いますが、具体的にどのように進めていくのでしょうか、お伺いします。

次に、公共交通の復旧についてお伺いします。

壊滅的被害を受けた沿岸部の鉄道は、三陸鉄道が手厚い国の支援を受けて平成26年4月の全線再開に向け、また、JR八戸線が本年3月17日に被災3県で最初の全線再開に向け、工事が鋭意進められております。

しかしながら、震災により運休しているJR山田線宮古竏抽・ホ間、大船渡線盛竏昼C仙沼間と震災前の崩落事故によって運休している岩泉線については、現在まで復旧の見通しが立っておらず、通院、通学等の日常生活において大きな支障が生じているほか、観光振興にも影響が出ています。

JR東日本から代替手段としてバス高速輸送システム、BRTでの仮復旧を検討しているとの発表があり、関係自治体に理解を求めていくようであります。

これが事実であれば、これまで進めてきた地域の土地利用計画や公共交通のあり方を根本から見直さざるを得なくなり、鉄道復旧を前提に進めてきた復興計画に影響が出てくると考えますが、いかがでしょうか。

また、JR東日本の方針決定次第では、さきに復旧が決まっている三陸鉄道の経営にも大きくかかわる事案でもあり、鉄道での復旧方針が早期に示されることが望まれております。

BRTでの仮復旧がもたらす影響をどのようにとらえ、対策を講じようとしているのでしょうか。あわせて、不通となっているそれぞれの路線の復旧の見通しをお伺いします。

最後に、水産業の復旧、復興についてお伺いします。

水産業は、本県沿岸地域において最も重要な産業であり、水産業の再生が沿岸地域の復興のかぎを握っていると言っても過言ではありません。

漁業関係者の御尽力により、漁船が日に日に浜に戻りつつあり、海には養殖施設が多く目につくようになりました。魚市場の多くも営業を再開するとともに、製氷施設や加工場が徐々に整備されつつあり、水産復興の兆しが幾分見えてきていると感じます。

しかしながら、発災前の生産レベルには遠く及ばず、水産物の流通、加工施設が集積する漁港では、防波堤や岸壁の多くが損壊し、地盤沈下などの被害を受けており、完全復活までには相当な時間がかかるのではないかと危惧されております。

漁港施設の災害査定は昨年末に終了したようですが、望まれている漁港の早期復旧を図るためには、どのような方針で復旧を進めていくお考えか、これまでの取り組みとあわせてお示しください。

また、本県が進めてきたつくり育てる漁業の再生に向け、資源の造成を進めることが重要であります。特にも、日本一の生産量を誇るアワビや、北海道に次ぐウニの生産県として復活を果たし、漁業者が意欲と希望を持って漁業に従事する環境を整えなければなりません。つくり育てる漁業の再生に向けた今後の取り組みをお示し願います。

以上で質問といたしますが、言うまでもなく、東日本大震災津波は国内史上最大級の大地震、大津波、放射能問題が絡み合う大惨事であり、県全域に大きな影響が及んでおります。知事には、これからも県民の先頭に立ち、県北、沿岸、内陸のそれぞれの地域を注視しながら、安全対策を初め復旧、復興事業の効果が全県に波及するよう万全の方策をとっていただきますようお願いいたします。

議会としても、いまだ非常時が続いているとの現状認識に立ち、未曾有の大災害に対応した議会のあり方を模索しながら、執行部と課題を共有し、軸足を一つにして持てる力を傾注しなければなりません。

我々民主党会派は、発災以降、復興に資する現地等の調査を続けながら、被災者の生活再建と被災地の復興に向け国への要望活動を重ねるとともに、東京電力へ速やかに損害賠償責任を果たすよう強く申し入れを行ってきました。これからも困難に立ち向かう被災者と思いを一つに、夢と希望のある三陸を取り戻し、県政が抱える諸課題に着眼大局、着手小局を旨に、未来に向かって会派一丸で最善を尽くしてまいりますことをここに誓い、質問を終えます。

御清聴まことにありがとうございました。(拍手)

〇知事(達増拓也君)

工藤大輔議員の御質問にお答えいたします。

まず、今後の県政運営についてでありますが、東日本大震災津波の発災以来、本県においては、全国、世界の国、地域からの支援、さまざまな民間のボランティア活動などが展開されており、こうしたつながりを大切にしながら、多様な連携の輪をさらに広げていくことが復興に向けた大きな力になると考えております。

一方、地域の振興を進めるに当たっては、発災以前から本県において取り組んできたような地域資源を発掘し、磨き上げ、高付加価値を生み出すという地域に根差した振興策を積み上げていくことが基本と考えております。したがいまして、つながりによる新たな力も取り入れ、また、こうした地域資源をもとにした地域振興の流れを復活させながら、大震災津波からの復興は岩手全体の復興でなければならないとの認識のもと、内陸、県北地域も含め、大震災津波からの復興と、さらにはその先にある希望郷いわての実現を目指し、全力で取り組んでいく所存です。

次に、第2期アクションプランを策定したねらいについてでありますが、アクションプランは、東日本大震災津波からの復旧、復興を進め、さらにはその先にある希望郷いわての実現に向けて重点的、優先的に取り組む政策などを具体的に示すものとして策定したものであります。そのため、特に甚大な被害を受けた沿岸地域の復興を最重要課題として取り組むとともに、内陸地域の活力が沿岸地域の復興を支えていくことにも十分配慮し、個々の施策については、復興との関連性や優先度を考慮しながら推進していくこととしているところであります。

具体的には、被災者の生活再建支援や災害に強い交通ネットワークの構築など、復興の基盤づくりに取り組むとともに、高度な技術力やすぐれた人材を生かした国際競争力の高いものづくり産業の振興、いわてデスティネーションキャンペーンを通じた滞在型、交流型観光の推進、さらには農林水産物の高付加価値化に向けた6次産業化や高品質な商品開発など、内陸地域の活力を岩手の復興につなげる取り組みを重点的に推進していきたいと考えております。

次に、滝沢村の市制移行についてでありますが、滝沢村は、みずから望ましい基礎自治体の姿として、その判断と責任において市制への移行を目指した取り組みを進めています。市制への移行は、地域価値のさらなる向上、近年の社会情勢の変化や地方分権の進展に対応した行政サービスを提供できる体制の整備につながるものと期待され、滝沢村の取り組みは大変意義のあるものと考えております。

県では、これまで滝沢村が設置した研究会に参画し、助言等を行ってきておりますが、今後は、市制施行の要件を定めた県条例の見直しや、市制施行後、新たに担う福祉業務を見据えた人事交流など、より具体的に支援していきたいと考えております。

次に、平成24年度当初予算についてでありますが、平成24年度当初予算は、東日本大震災津波の被災者一人一人の復興を支援し、地域の復興の流れを加速させていくことに意を用いながら、大震災津波からの復興を着実に推進していくいわて復興元年予算として編成を行ったところです。この予算には、県民の底力を引き出し、つながりをつくり、豊かな岩手を創造しながら、大震災津波からの復興と、その先にある希望郷いわての実現を目指していくという思いを込めたものであります。

具体的には、復興計画に掲げた三つの原則に基づき、多重防災型のまちづくりや復興道路の整備などによる安全の確保、災害復興公営住宅の整備や被災地における医療提供体制の整備などによる暮らしの再建、漁船、養殖施設の復旧、整備や、被災した中小企業等の事業再開支援などによるなりわいの再生に重点的に取り組んでまいります。さらに、大震災津波からの復興は岩手全体の復興でなければならないとの認識のもと、いわて県民計画第2期アクションプランに掲げた仕事、暮らし、学び・こころの分野の施策についても、当該プランの工程表に基づき予算に盛り込んでいるところであります。また、この予算を実施していくための組織体制につきましては、先ほど申し上げた重点施策に的確に対応するため、防潮堤等の整備を担う土木技術職員や用地取得を担う職員の重点配置を初めとして、復興を着実に推進していくことができるよう職員定数の増加や体制の整備に取り組んでまいります。

次に、再生可能エネルギー等導入地方公共団体支援基金事業についてでありますが、東日本大震災津波に伴う大規模停電やエネルギー不足により、被災者の生活や被災地の復旧活動に大きな支障が生じたところであり、このため、地域の防災力の向上を図る観点から、国の支援事業を活用して140億円規模の基金を新たに造成することとしました。今後、この基金を活用し、4年間で、地域の防災拠点となる県、市町村の庁舎や、民間を含めた医療施設、福祉施設、学校などに、災害時においても一定のエネルギーが賄えるよう、太陽光発電や木質バイオマスボイラーなどの設備の導入を進めていくこととします。整備に当たっては、地域防災を担う市町村、特にも沿岸被災市町村の防災力の強化に配慮していきたいと考えております。

次に、大規模発電施設の誘致についてでありますが、太陽光発電については、昨年公表した50カ所の候補地について15事業者から問い合わせがあるなど、高い関心が寄せられています。今後、買い取り価格や期間の決定を踏まえて具体的な建設につながることを期待しています。

風力発電については、東北電力株式会社の今年度分の募集枠30万キロワットに対して、本県分として20件、出力で83万キロワットと、昨年の6件、21万キロワットを大きく上回る応募があったと伺っています。全体では募集枠の10倍以上の応募があったことから、楽観視できない状況にありますが、本県分に係る事業が採択されることを期待しています。

県では、今後とも、大規模発電に関する情報収集を行うとともに、来年度新たに創設する低利融資制度や復興特区制度の活用を図りながら、市町村などとも連携し、その立地が進むよう努めていきます。

次に、木質バイオマス発電についてでありますが、国は、現在、木質系震災廃棄物を資源として利用するための活用可能性調査を実施しており、県は、この調査を踏まえ、木質バイオマス発電の実施を希望する事業者への助成について国に要望しております。

木質バイオマス発電の取り組みに当たっては、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の内容が明らかになっていないこと、木質燃料の供給体制整備の必要があることなどの課題もありますが、本県の林業振興を図る上で、間伐材等の利用拡大にもつながる重要な取り組みと認識しており、国の動向を注視するとともに、林業関係者と連携して課題解決を図りながら、木質バイオマス発電への取り組みを支援していく考えであります。

次に、地域産業の振興についてでありますが、被災した地域ができるだけ早期に復興を果たすため、県としては、沿岸の基幹産業である漁業と一体となった水産加工業や、久慈地域の造船、宮古地域のコネクター、釜石地域の金属製品や空圧機器、大船渡地域のセメント製造など、各地域において経済波及効果や雇用力が大きい中核的な産業を中心に、グループ補助や修繕費補助、制度融資による重点的な支援を行ってきたところであり、現在、これらの企業については操業を順次再開している状況にあります。今後も、企業グループに対する支援を行うとともに、新たに個別の企業に対する補助を創設するほか、各種制度融資による支援や二重債務の解消、経営面に係る個別相談などの重層的な支援を行います。

また、被災地域の復興支援のため新たに本県に立地する企業の動きもあり、これまで、山田町における造船や陸前高田市のコールセンターなどの企業が進出したところです。このような動きをさらに促進するため、現在、国に対して産業再生特区を申請しているところであり、本県独自の優遇制度も活用しながら、地域の特性や強みを生かしたものづくり産業や食産業のほか、今後成長が期待される再生可能エネルギー関連産業などについても積極的な誘致に努めていきます。

次に、療育センターの今後の整備と運営方針についてでありますが、いわて県民計画に掲げた共に生きるいわての実現に向け、新たに整備する療育センターは、病気と闘い、重い障がいを抱えながら生きる子供たちのかけがえのない命を守り育て、県内の障がい児と御家族の支えとなる障がい児療育の拠点として重要な役割を担っていくものと考えております。このため、新たな療育センターにおいては、超重症児を受け入れるための病床の再編や診療科の増設、在宅支援機能の拡充、さらには高次脳機能障がい者の受け入れ環境の向上など、現在の施設機能や職員体制の充実強化を図ることとしております。今後、この整備に当たっては、高度な機能を有する医療機関、療育支援を行っている医療機関及びいわてリハビリテーションセンターなどとの連携体制の構築や医師等の確保を図りながら取り組んでいくこととしております。

次に、災害廃棄物処理の取り組み状況と成果の評価についてでありますが、県では、膨大な災害廃棄物の処理は、まさに復旧、復興に向けた一丁目一番地の重要課題であるとの認識のもと、3年以内の処理を目指し全力で取り組んでおり、現在、仮置き場への撤去についてはおおむね完了したところです。

処理に当たっては、国や市町村と連携し、市町村負担を軽減する財政支援制度の確立や円滑な処理に向けた仕組みづくりに努めてきたほか、塩分や放射性物質に対応した太平洋セメントや内陸市町村等での処理の推進、仮設焼却炉の整備による処理能力の増強など、県内処理体制の構築を図ってきました。また、広域処理については、東京都の受け入れ実施に加えて秋田県との協定締結、静岡県島田市による試験焼却の実施のほか、神奈川県、埼玉県、八戸市など多くの自治体が受け入れを表明するなど、支援の動きが出てきているものの、現状のままでは3年以内の処理は厳しい状況となっており、広域処理の一層の拡大に向け、取り組む必要があると認識しております。

次に、災害廃棄物の受け皿の拡大についてでありますが、広域処理に係る受け入れ希望の対象が久慈、宮古地区中心となっておりますが、静岡県島田市が大槌町からの受け入れを表明するなど、その範囲も拡大しつつあります。今後、沿岸南部地域についても、放射性物質濃度が国のガイドラインよりも十分に低いことを丁寧に説明し、順次範囲が拡大するよう努めるとともに、広域処理と県内処理のバランスを勘案しながら、県全体として均衡を図りつつ処理を進めてまいります。

次に、食品の新基準適用等の課題と対応についてでありますが、県では、市町村との連携を強化し、子供の健康と食の安全・安心を重視しながら、状況の推移に応じ、放射線影響対策に取り組んでおります。学校を初めとする県民の生活環境や県産農林水産物等について、これまで以上に放射線量等の正確な測定と速やかな測定結果の公表に努めるなど監視体制の強化を図り、低減措置に取り組むなど、測定結果に応じた適切な対応を講じることが必要です。とりわけ基準が強化される食品については、基準の確実な遵守のため、よりきめ細かな測定に努めるとともに、新たに流通食品の抜き取り検査や学校給食の食材検査にも取り組みます。

また、県民の不安を払拭し、風評被害を防止するため、食品に関する新たな基準の内容や放射線の健康に対する影響について、県民に対しわかりやすく周知、啓発を図るとともに、引き続き岩手県の状況を広く情報発信してまいります。特にも、県南地域については、関係職員が積極的に足を運び、関係者や市町村の問題意識の把握に努め、対策の立案に資するほか、県民を対象とした放射線に関するセミナーを開催するなど、啓発活動を重点的に行います。これらに加え、放射性物質汚染対処特別措置法の指定を受けた市町の除染に係る取り組みを積極的に支援してまいります。

次に、干しシイタケの出荷自粛の早期解除に向けた対応についてでありますが、次の干しシイタケの生産、出荷は4月以降となりますが、その出荷の可否は、先般の国の放射線審議会で了承された新たな測定方法による検査で判断し、基準値を超過した場合は、国の指示により出荷制限を要請することとなります。その解除について具体的な方法を示すよう国に対して要請しておりますが、県といたしましては、安全な農林水産物の提供や産地としての信頼の回復の観点から、干しシイタケについても、牛の検査と同様に、生産者ごとに全戸を検査するとの方向性が重要と認識しており、今後とも、国、関係集出荷団体、市町村等と調整を進めていきたいと考えております。

次に、再生産を可能にする県独自の対策についてでありますが、産地としての信頼を回復し、再生産を可能としていくためには、生産、出荷される干しシイタケの安全性を確認する取り組みとあわせて、国の指標値を超える原木、ほだ木の更新による安全性の確保や、ほだ木更新に係る生産者への支援が課題と考えております。これらに要する経費等は、原因者である東京電力が賠償すべきものでありますが、その支援について、国に対して対策を講じるよう要請しているところであり、県としても、既に原木、ほだ木の測定調査や損害賠償請求に向けた関係団体間の調整などを進めており、引き続き産地再生のための取り組みを支援してまいります。

次に、原発事故に起因する本県の損害額等についてでありますが、原発事故による放射性物質の影響は広範囲かつ長期に及び、現時点で把握している民間の損害額だけでも、農林関係の損害賠償請求が、今月請求分も合わせて47億8、000万円余に上るほか、商工観光関係等も含め、全体では67億8、000万円を超える規模となっております。いまだ新たな損害が発生している状況であることに加え、先月、1億400万円の第1次請求を行った県及び市町村の損害もあり、本県全体の損害額は今後さらに増加するものと見込まれます。原因者たる東京電力に対しては、これらすべての損害について速やかに賠償を行うよう、関係団体と協調し、強く求めてまいります。あわせて、国に対しては、十分かつ迅速な損害賠償が行われるよう、原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針の見直しや、東京電力に対する指導など必要な措置を講じることを、市町村や他県等と連携を図りながら強く働きかけてまいります。

次に、医療体制の拡充についてでありますが、被災地においては、仮設診療所の整備や民間医療機関の施設修繕など、被災地の医療確保に向けた取り組みが着実に進められておりますが、依然として医師不足が深刻な状況にあることから、岩手県保健・医療・福祉復興推進計画による規制緩和の特例なども活用しながら、中核病院と地域病院、診療所の役割分担と連携によって、地域における効果的な医療提供体制を再構築していく必要があります。このため、二次保健医療圏ごとに、地域における医療機関の状況やこれまでの医療連携に関する取り組み、市町村のまちづくり計画などを踏まえて、公民の関係施設、行政機能との連携を十分に考慮した施設等の整備を図っていくこととし、当初予算案においては、被災地における当面の医療機能の確保に加え、本格的な医療施設の移転、新築等に対する支援を盛り込んだところであります。

さらに、これらの医療提供体制の整備に当たっては、高齢者等に必要な医療、介護サービスが効果的に提供されるよう、市町村と県が協議しながら、市町村の地域包括支援センターを中心としたケア体制の整備を一体的に進め、被災地における医療の再生に取り組んでいきたいと考えております。

次に、救急医療体制の拡充についてでありますが、本県の救急医療は、患者の症状に応じて適切な治療が受けられるよう、初期、二次及び三次からなる総合的、体系的な体制の整備を進めてきました。特に、広大な県土を有し、救急医療機関への搬送に長時間を要する地域を多く抱える本県においては、ドクターヘリの導入が救急医療体制の高度化に大きく寄与するものと考え、高度救命救急センターである岩手医科大学附属病院を基地病院として運航準備を進めているところであります。このドクターヘリの運航により、一人でも多くの救急患者の命が救われることを目指し、沿岸地区2カ所の救命救急センターへのヘリポート整備や、安全かつ迅速な患者搬送のための関係機関の連携強化などに取り組んでまいります。

次に、北東北3県での連携体制についてでありますが、既に運航を開始している青森、秋田の両県に加え、新年度には本県も本格運航を開始する予定であることから、ドクターヘリ運航に関する連携体制を構築して、県境地域の救急搬送体制の高度化を図るとともに、大規模災害や事故時の備えを進めていくことは重要な課題であります。県としては、5月の本格運航開始に向け本県ドクターヘリの運航体制確立に万全を期すとともに、青森、秋田両県の状況を伺いながら、対象となる地域や事案など課題を整理し、3県の連携体制を構築できるよう取り組んでまいります。

次に、バス高速輸送システムでの仮復旧についてでありますが、現在運休となっているJR山田線及びJR大船渡線については、沿線市町が鉄道の復旧を前提に復興計画を策定し、復興に向けた取り組みを進めています。このため、今月9日、沿線市町とともにJR東日本に対し鉄道の早期復旧を要望したところでありますが、報道されているバス高速輸送システム、いわゆるBRTでの仮復旧については、気仙沼線について提案しているもので、本県や沿線市町に提案しているものではないとの説明を受けたところであります。県としましては、沿線市町の意向を踏まえ、また、JR線と三陸鉄道が一つにつながることでさまざまな面で相乗効果が発揮されることから、鉄道の早期復旧が必要であると考えております。

一方、鉄道の復旧までの間、代替交通をどのような形で確保するかについては、沿線各市町の復興計画に定めるまちづくりと整合性を図る必要があることから、各地域の実情を踏まえつつ、交通のありようやその経費負担も含め、JR東日本及び沿線市町と丁寧な議論を重ね、合意形成を図っていく必要があると考えております。

次に、不通路線の復旧についてでありますが、JR山田線及び大船渡線については、JR東日本は、復興調整会議等の場で、沿線市町のまちづくり計画と一体となった復旧計画を策定し、まちづくりにあわせてルートの位置などの検討を行いたいという説明をしておりますが、いまだ復旧の見通しは示されておりません。また、JR岩泉線については、JR東日本が社内に設置した災害原因調査検討委員会の報告の概要が昨年末に公表されたところですが、JR東日本は、これに基づき本年3月中に対応方針を示すとしており、復旧の見通しもその際に明らかにされると考えております。

次に、漁港の復旧方針についてでありますが、本県の水産業は、生産の場としての漁港と生活の場である漁村が一体的な関係を保ちながら成り立っていることから、漁港の早急な復旧、整備が重要と認識しております。このことから、発災以来、漁船、漁具等の再整備や産地魚市場、水産加工施設等の復旧とあわせて、漁港内の瓦れき撤去や産地魚市場前などの岸壁のかさ上げ、防波堤、護岸の応急工事などを鋭意進めてきたところであります。今後におきましては、ワカメなど養殖水産物の陸揚げ施設、産地魚市場、水産加工場等の復旧を見通しつつ、復旧、整備の緊急度、優先度等について、市町村や漁協など関係機関、団体と十分協議しながら、5年程度をめどに、被災した108漁港すべての本格的な復旧、整備を進めてまいります。

次に、つくり育てる漁業の再生についてでありますが、本県のつくり育てる漁業は全漁業生産額の2分の1を占めており、特にもアワビ、ウニは生産額約50億円と本県漁業の重要魚種であり、種苗生産施設の早期復旧が課題となっております。このため、今般被災した岩手県栽培漁業協会が運営する種市と大船渡の県施設から復旧を進めており、復旧途中の施設を活用した種苗生産にも努めながら、平成26年にはウニ250万個、平成27年にはアワビ500万個の種苗供給ができるよう取り組んでまいります。また、民間の種苗生産施設の復旧につきましても、関係団体の意向を踏まえ種苗生産体制の再構築に取り組み、本県のつくり育てる漁業の早期再生に努めてまいります。