くどう大輔発言録

平成23年4月臨時会 本会議

(2011年04月27日)

〇議長(佐々木一榮君)

次に、工藤大輔君。

〇29番(工藤大輔君)

民主党・ゆうあいクラブの工藤大輔でございます。

議案第3号平成23年度岩手県一般会計補正予算(第2号)について質疑を行います。

3月11日に東日本大震災が発生し、1カ月半が経過しました。地震、津波に対応するための備えを進めておりましたが、自然の猛威は予想をはるかに超えたものとして襲ってきました。そのため、ガソリン、重油などのエネルギーへの備え、集落へのきめ細かい物資の提供など、ライフラインの崩壊により課題となる部分もありましたが、さきに専決処分として執行された134億円余の補正予算により、被害自治体からは、応急対策に活用でき随分助かったとの感謝の声を聞いており、一刻も早い復旧に向け、関係者とともに全力を尽くしていることに敬意を表します。

今回、新たに2、255億円余となる過去最大の補正予算の提案となりました。予算規模からも東日本大震災がもたらした影響の大きさを物語っておりますが、知事は、補正予算の編成に当たりどのような思いを持って編成作業に取り組み提案を行ったのか、お伺いします。

次に、応急仮設住宅等についてお伺いします。

県はこれまで、9月末までに建設するとしていた応急仮設住宅を、7月末までに完成させるとの方針を新たに示しました。避難所生活が長期化し始め、生活の拠点を必要とする被災住民の切実な願いと議会の声にもこたえていただいたことを高く評価したいと思います。

大震災発生から8日目に応急仮設住宅の建設が始まり、4月1日に陸前高田市で36戸の完成となって以来、4月25日現在で226戸の完成にとどまっておりますが、1万8、000戸の建設スケジュールの見通しをお示し願います。

また、建設予定地として確保した1万2、500戸分を除く残り5、500戸分の用地約55ヘクタールの見通しがいまだ立っていないのではないでしょうか。発注してから45日の工期としており、遅くとも6月初旬までには予定地の確保が求められますが、どのように取り組むのかお伺いします。

入居に当たっては、子供や高齢者世帯からの優先入居やコミュニティ単位でのまとまりの維持が必要であり、入居者の自立や生活再建に向けた息の長い取り組みが求められます。どのように誘導していくのでしょうか。

応急仮設住宅は、原則として水没したエリアへの建設ができないことになっており、現在は学校の校庭に建設するなどしています。学校施設も避難所となっており、体育や学校行事等への影響が心配されており、教育的影響をどのようにとらえているのか、お示し願います。

影響が出る学校数、生徒数をどのくらいと把握しその対策に努めていくのか、お伺いします。

教育に関連しお伺いしますが、今臨時会において、県立学校や大学校等における入学選考料や寄宿舎料の免除を行おうとする条例議案が提案されています。すべての生徒が教育を受けられる機会を失うことがないよう、必要な対策を講じなければなりません。今春、高等学校を卒業した生徒など、震災により決まっていた進路先を断念せざるを得ない卒業生の実態をどのようにとらえているのでしょうか、お伺いします。

次に、医療福祉と健康維持についてお伺いします。

被災地の医療提供体制について、県央部の県立病院から沿岸部の県立病院への職員派遣や県医師会の災害救援チームJMAT岩手を初め、県内外の応援を得ながら診療体制の充実に向けて取り組んでいます。県として現在の被災住民の栄養状態や衛生状態、医療福祉の提供体制についてどのように把握をしているのでしょうか。

梅雨の時期も近づき、感染症対策の強化や避難所生活の長期化による心身のケア、医療ニーズの高い高齢者への対応などが一層求められておりますが、どのように取り組んでいるか、お伺いします。

これまでも医療体制が脆弱であった県北・沿岸地域の医療供給体制を今後どのように進め、民間医療機関とともに地域医療の再生を行っていくのか、お伺いします。

次に、雇用についてお伺いします。

今回の補正予算において、約5、000人の雇用創出を目標とする雇用対策として緊急雇用創出臨時特例基金を活用し、県、市町村と合わせて60億円の事業費を計上しています。被災した他県の補正予算では、雇用対策まで踏み込んでいる県はなく、ニーズが高い雇用分野へいち早い対応を行ったことに感謝を申し上げます。しかしながら、緊急雇用創出臨時特例基金を活用した雇用創出は、あくまでも短期間のつなぎ的なものであり、被災地の本来の姿を取り戻していくには、産業復興につながる恒久的な雇用の場の創出が不可欠であります。中小企業振興費として沿岸地域における企業の再建に向けた新たな補助制度や貸付制度をつくりましたが、どのような効果を期待してのものなのか、お伺いします。

最後に、水産業についてお伺いします。

農林水産業被害額として4、166億円との推計を示されました。中でも、水産、漁港関係に係る被害額が3、137億円と特出しております。補正予算には特にも被害が大きかったこの分野において、台風やしけの影響から起こる漁船の2次被害の阻止に向けた緊急的な漁港整備や漁業再生に向けた第一歩となる市場機能の回復、漁場復旧に向けた調査経費が盛り込まれています。今後、登録されている1万4、300隻の9割が被害を受けたとされる漁船の確保とともに、特にも壊滅的被害となったカキ、ホタテ等の養殖業施設の復旧や種苗確保、秋サケやヒラメの稚魚の生産基盤、ウニ、アワビ、ナマコの種苗生産拠点の整備等が急がれます。

水産業の復旧、復興を効率的に行っていくためには、優先順位を見定め、戦略的な工程に基づき着実な整備を行っていく必要がありますが、本県水産業の再生に向けた県の方針をお伺いします。

〇知事(達増拓也君)

工藤大輔議員の御質問にお答え申し上げます。

まず、補正予算編成に対する思いについてでありますが、東日本大震災津波からの復旧、復興に当たっては、被災者の人間らしい暮らし、学び、仕事を確保し、一人一人の幸福追求権を保障すること、そして犠牲者のふるさとへの思いを継承すること、この二つの原則のもとに取り組んでおり、今回、当面緊急的に必要となる経費を計上した補正予算を提案いたしました。

その内容といたしましては、家屋を失った方々のための応急仮設住宅の早期建設のための経費、膨大な瓦れきを処理するための経費、必要物資の供給を初めとする被災者の生活を支援するための経費、被災地における地域経済の再生の支援や雇用の回復を図るための経費などを盛り込んでおります。

今回の補正予算は、復旧、復興に向けた第一歩でありまして、国の補正予算とも連携をしながら、県として必要な議案を今後とも逐次追加してまいります。

この歩みを確実なものにし、被災地の方々が希望を持って生活の再建に踏み出すことができるよう、市町村や政府を初めとする関係機関と一体となり、全力で取り組んでまいります。

次に、新たな補助、貸付制度についてでありますが、被災に伴い事業が休止し、賃金の支払いなど資金繰りが懸念されたことから、直ちに中小企業災害復旧資金を創設して円滑な資金確保を支援するとともに、県が信用保証料を全額負担するなど、あわせて事業者の負担軽減も図ったところであります。また、一刻も早い復旧を望む事業者からは、資金の融通のみならず、行政による直接的な助成措置を求める要請や働く場を求める被災者からの声も多かったことから、今般、店舗、工場、旅館等の修繕に係る新たな補助制度を立ち上げたところであります。

これらの融資、補助制度を活用することによって、再建意欲の高い事業者が早期に企業活動を再開することで、雇用を確保しながら地域経済の牽引者として活躍することを期待しています。

次に、水産業についてでありますが、本県の水産業は、これまで、つくり育てる漁業を重点として位置づけ、ウニ、アワビ、サケ等の種苗放流、ワカメ、ホタテ等の養殖業を推進し、これらの生産額は約270億円と、海面漁業生産額全体の約6割を占めるに至っています。

今般の津波によって、漁船や定置網、養殖施設等のほとんどが流失するとともに、つくり育てる漁業の基盤となるサケふ化場や、ウニ、アワビ等の種苗生産施設の多くが壊滅的な被害を受けました。このため、本県水産業の再生に当たっても、つくり育てる漁業を基本に置きながら、漁港等の整備とあわせ、漁船、漁具の共同利用システムや効率的な種苗生産施設の構築等による漁業協同組合を核とした漁業、養殖業の構築や、産地魚市場を核とする流通、加工体制の構築などにより、その復興を図りたいと考えております。

その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので御了承をお願いします。

〇県土整備部長(若林治男君)

応急仮設住宅につきましてですが、最新の見込みであります。4月中には1、157戸が完成する予定となっております。

1万8、000戸の今後の建設スケジュールでありますが、5月末までに1万戸程度、6月末までに1万6、000戸程度、最終的には、7月末までにすべての住宅を完成させることを目標として建設を進めてまいります。

用地の確保につきましては、公有地のほかに民有地、農地を含め候補地をリストアップして、市町村と連携し仮設住宅地として提供していただけるよう進めているところであります。用地選定を進めるために県から職員を派遣するなど市町村の支援を行っており、5月中旬ころまでには用地確保の見通しを立ててまいります。

応急仮設住宅の入居に当たっては、コミュニティに対する配慮が重要でありますことから、地域ごとにまとまって入居できるように、入居者の選定を行う市町村に対し配慮を求めているところであります。

また、団地内に設置する予定の集会所、高齢者等のサポート拠点等を活用しながら、地域における自治会の育成やボランティア等との連携を進めるとともに、サポート拠点に被災者に対する相談機能を付加し、入居者の自立や生活再建を支援してまいります。

〇保健福祉部長(小田島智弥君)

まず、被災地の医療提供体制等の把握についてでありますが、被災地の広範囲にわたる避難所等の医療救護に対応するため、関係機関の連携によるいわて災害医療支援ネットワーク体制を立ち上げ、被災地の医療提供体制の確保に努めてきたところでございます。これまで、被災地域においては、県内外からの支援による医師や看護師等を構成員とする医療救護チーム、保健師や栄養士による巡回チームなどが被災地の避難所等に駐在し、あるいは地域を巡回しながら活動し、被災住民の健康や栄養の確保に努めているところでございます。

また、これらの保健医療チームが毎日の活動後に参集し、被災住民の健康状態や食事の状況、避難所の衛生状況、さらには、被災地における医療ニーズや要介護者などの福祉ニーズなどについて情報交換を行い、活動の調整を行うなど状況の把握と管理を行っているところでございます。

次に、今後の医療体制の再生についてであります。

まず、感染症対策につきましては、これまで避難所等における啓発用チラシや防疫用薬剤を配布し発症予防に努めてきたところであり、各医療救護チームからは、インフルエンザ等の小規模な流行が報告されているものの、現在は落ちついている状況であります。今後は、避難所における感染症等発生動向調査、いわゆるサーベイランスを実施するなど、感染症の拡大防止のための体制強化に努めることとしているところであります。

また、被災による心身のケアへの対策につきましては、精神科医等を構成員とする心のケアチームや、保健師等が巡回して被災者へのきめ細やかなケアを実施しているところであります。

さらに、高齢者につきましては、保健師の巡回チームとの連携による早期治療の確保や眼科の巡回診療など、ニーズの高い特定の診療科の治療機会の確保に努めているほか、急変時におきましては、医療救護チームとの連携により、基幹病院への搬送が適切に行われているところでございます。

次に、県北・沿岸地域の医療供給体制の再生についてでありますが、今回の震災により医療施設は甚大な被害を受けており、地域医療を担う医療機関の復旧支援は急務と考えております。今後、中長期的には新たなまちづくりと連動して医療機関の復興も進めていくこととなりますが、復興に向けた第一歩として県内外からの医療スタッフの応援も得ながら、まずは被災した医師の活動の場を早急に確保して、被災地における医療供給体制の再生を着実に推進していくため、今般の補正予算に被災地医療確保対策緊急支援事業費補助を盛り込み、県医師会などの公益的団体等による仮設診療所の設置を支援していきたいと考えているところでございます。

〇教育長(菅野洋樹君)

まず、仮設住宅の設置によります影響等についてでありますが、校庭に仮設住宅が建設されているなど使用できない学校は、小学校で19校、中学校8校、県立学校3校、計30校、また、体育館が避難場所や物資保管庫となって使用できない学校は、小学校で28校、中学校14校、県立学校3校、計45校となっております。また、その影響を受けている児童生徒数は、概数でありますが1万2、000名程度と把握いたしております。

他方、大多数で学校が再開できておりますのは、子供たちのためにという、避難されている方々を初めとする地域の皆さんの支えがあったからであり、本当にありがたく思っております。

教育活動の影響といたしましては、体育などの授業、運動会などの学校行事、さらには部活動の実施などが制約を受けているものと考えております。このため、体育の授業につきましては、それぞれの学校の状況に応じて学習場所として空き教室や中庭、あるいは近隣の学校などの活用や学習内容の組みかえなどの工夫をしながら、児童生徒の健康の保持増進に努めてまいりたいと考えております。また、部活動等につきましても、近隣の学校との合同練習、指導方法や運動メニューの工夫など、学校の実態に応じて対応してまいります。

いずれにいたしましても、子供たちの学習環境が少しでもよいものとなりますよう、学校ともども努めてまいりたいと考えております。

次に、今回の東日本大震災津波により、いわゆる進学を断念せざるを得なかった生徒等についてでありますが、4月26日現在、各学校等の調査によりますと、4年制大学への進学を断念した生徒が5名、短大、専門学校等への進学を断念した生徒が20名いると報告を受けております。各学校におきましては、それぞれ財団法人学生支援機構や民間団体等による奨学金、こういったものを活用しながら、何とか所期の思いを実現させるべく個別に相談を行っていたところでございますが、学業費用の問題のみならず、家族全体の経済的見通し等を含めて考慮された結果、進路変更をせざるを得ない、こういった生徒が多かったものと報告を受けているところでございます。

〇30番(工藤大輔君)

各般にわたり丁寧な、また、前向きな答弁をいただきまして感謝いたします。

被災地において、また、県内において、いまだ緊急地震速報や余震が続いており、沿岸部では、次なる地震、津波がいつ襲ってくるか不安に駆られています。被災地では、避難を伝達する手段となる防災無線が壊されています。応急的な防災無線の確保等による連絡体制、衛星携帯電話をふやし、停電であっても県庁から市町村、広域振興局を結べる通信手段の確保が求められています。防潮堤が破壊されたことから、避難所、避難経路の見直し、避難所の高台への移転など、地域防災計画の内容の一部に早急な見直しも必要であります。

水産業の中核となるつくり育てる漁業では、養殖施設や漁船の確保において大きな補助を入れての支援策でなければ、壊滅的な被害からの再生は難しいと感じています。市町村の行政機能や医療、福祉など、それぞれの現場の職員も被災住民であり、さらなるマンパワーの補充など対策を講ずるべき課題もあります。

県財政の厳しさがありますが、災害発生に即応するために主要3基金では300億円ほど確保しており、国の制度や被災者の実態を見ながら有効に活用していただきたいと思いますし、先般設置した知事を本部長とする復興本部を中心に、副知事をトップとし、事務部門の中核となる復興局が、緊急的課題と中長期的課題をしっかり分けながら対策となる復興ビジョンを示し、時期を逸しないよう、機動性を持って取り組んでいただきたいというふうに思います。我々としましても、その取り組みを注視しながら、被災地の復興と生活の再建につながるよう、県行政のサポートをしてまいりたいというふうに思います。

以上を申し上げ、質疑といたしたいと思います。